

マレーシア生まれでロンドンを拠点に活動するシンガー、Chloe Qishaが音楽の道に進むまでには紆余曲折があった。初めは心理学の学位取得を目指していたが、自分はカウンセラーに向いていないかもしれないと悟ったのだ。その代わりに、彼女は現代社会と、そこにあふれる恋愛の恐怖体験をテーマにして、皮肉とリアリティたっぷりに歌い上げるポップソングのスタイルを確立した。数年にわたってソーシャルメディアにカバー曲を投稿し続けた後、QishaはプロデューサーのRob Milton(THE 1975やホリー・ハンバーストーンの作品で知られる)に見いだされ、2024年に自身の名を冠したデビューEP『Chloe Qisha』をリリースした。 その続編となる『Modern Romance』で、26歳になった彼女はチャペル・ローンとインディー・スリーズの中間あたりに着地し、1980年代を彷彿とさせるシンセポップのサウンドに乗せて、2020年代の恋愛模様をうっとりするような、あるいはうんざりするような、そしてときには呆れたような顔をして見つめている。「こう言うと大げさかもしれない/でも死んじゃうかもしれない/あなたのそばにいなかったら(Now this could be hyperbole/But I’m afraid I might die/If I’m not here by your side)」と、Qishaは欲望に酔いしれたディスコナンバー「21st Century Cool Girl」で歌う。そして「Sex, Drugs & Existential Dread」ではいきなり冒頭で「ughhh」と絶望的なうめき声を漏らし、そのままカウベルが陽気に鳴り響くファンクジャムへと突入し、こんな結論にたどり着くのだ。「世界が燃えてる/タコベルを頼もうか(The world is on fire/Let’s order Taco Bell)」