The New Sound

The New Sound

UKロック界の異才が集結したblack midiは、短期間のうちに、しかもかなりの若さで多くを成し遂げてきただけに、2024年に突然発表された無期限活動休止のニュースは、必然的に多くの疑問を呼び起こした。Geordie Greepのソロデビュー作『The New Sound』は、その答えを示すというよりは、むしろ未来へと続く複数の道筋を示している。black midiの熱狂的なファンなら、Greepの果てしなく広がる音楽性に引き継がれたいくつかのスタイルの片りんをあちこちに見つけるはずだ。例えばジャズフュージョンのブレイクダウンや、プログレッシブロックの複雑で奇妙な世界観に影響を受けた多楽章構成のソングライティング、そして2022年にリリースされたblack midiの現時点での最終作『Hellfire』でGreepが既にその兆候を見せていた、強烈なストーリーテリングへの傾倒などが見て取れる。同時に本作は、そのタイトル『The New Sound』にふさわしく、音楽的に何でも吸収するショーマンとしてのGreepを再提示している。ここでの彼は、並外れた度胸と、あらゆるサウンドに果敢に挑む鋭いまなざしで、スポットライトの中へ飛び込んでいく。 black midiのドラマーMorgan Simpsonを含む、豪華なサポートメンバーとセッションミュージシャンを迎えた本作は、レコーディングの場所も取り込んだジャンルも広範囲に及んでいる。全11曲の収録曲は、ロンドンとサンパウロでの1年にわたるスタジオ作業から編み出され、そのスタイルの豊かさはまさに無限だ。「Terra」の軽快なボサノヴァのスウィングや、ファーストシングル「Holy, Holy」のジャズバンドを思わせる高揚感は、スティーリー・ダンを率いるドナルド・フェイゲンが1982年にリリースした名作ソロアルバム『The Nightfly』を彷彿とさせる。一方で、「Motorbike」がまとっているバイクの疾走感に満ちた焦燥感は、ロンドンを拠点とするレーベルSpeedy Wunderground界隈に見られる不協和音に満ちたポストパンクの抽象性にも通じ、それはしばしばblack midiと結び付けられてきた。どれもつかみどころがないように聞こえるとしても、本作の歌詞をじっくり読むことをおすすめする。そうすれば、Greepの言葉の奔流が、男性のセクシュアリティが持つ暗く、無力で、好色な側面を、露骨なまでの熱意で描き出しているのが分かるだろう。それは挑発的でありながら不必要に過激になることはなく、その見事なバランス感覚が『The New Sound』という作品全体の奇想天外な特異性を際立たせている。

ミュージックビデオ