

25歳の若さでソロでの4作に加え、ノースカロライナのバンド、Wednesdayのギタリストとしても3作のアルバムをリリースしてきたMJ Lendermanには、すでにベテランの風格がある。生き生きとして軽妙なソングライティング、先人たちへの敬意と不敬の間を揺れ動くスタイル、そして現代文化に深く根差しながらも時代を超越した響きを持つ彼の音楽。それらは、使い込まれたお気に入りの心地良さを感じさせ、この先何十年にもわたって膨大で豊かで議論の的となるディスコグラフィを築いていくであろうアーティストとの新たな出会いのときめきを呼び起こす。聴きやすい曲ではあるものの端々に影があり、素朴な弦楽器やスティールギターの音色が彩るのは、シャワー中の自慰行為やスマートウォッチがもたらす実存的な孤独の物語だ。ただし、そこには楽しさがある。 MJ Lendermanは2021年の「Knockin」で、元ゴルファーのジョン・デーリーによるディランの「Knockin’ On Heaven’s Door」のカバーに言及しながら原曲のコーラスを巧みに取り入れてみせた。まさにそれと同じように、「You Don’t Know the Shape I’m In」ではザ・バンドの名曲に敬意を表しつつ、それが不要と思えるほどの独自性を確立している。そしてアルバムの最後を飾る「Bark at the Moon」で、Lendermanの悲哀に満ちた性格描写とメタ的なクラシックロックの引用を融合させるスタイルは最終形態に達する。「一度もモナリザを見たことがない/自分の部屋から出たこともない/ギターヒーローで夜更かしして/『Bark at the Moon』を弾いている (I’ve never seen the Mona Lisa/I’ve never really left my room/I’ve been up too late with Guitar Hero/Playing ‘Bark at the Moon’)」と歌われる。 そして「Awoo/Bark at the moon(アウー/月に吠える)」というフレーズで締めくくるが、そこにオジー・オズボーンの同名曲ではなく、ウォーレン・ジヴォンの「Werewolves of London」のメロディを合わせてみせる。バースの半分にこれだけのジョークを詰め込めるだけでも十分だが、それで笑いを誘うよりも悲痛な切なさを感じさせるところがより一層見事だ。