大人の恋愛の機微が味わえる作品だ。1992年発表、山下達郎とのタッグによるAOR路線がさらに追求された8作目のアルバムで、当時のセールスチャートでは1位に輝いている。タイトル曲が表すように、平凡な日々の中で起こる気持ちの揺らめきを表現した曲が並び、中でもドラマ主題歌となった「シングル・アゲイン」や「告白」は、哀愁のあるメロディも竹内の魅力だと認識されるきっかけになった楽曲だ。さらに先行シングル「マンハッタン・キス」、リカットされた「家(うち)に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)」でも苦みを伴う恋愛感情が歌われている。友人関係をつづる「Forever Friends」では、曲の終わりでビートルズの曲のメロディを引用。ナット・キング・コールが歌ったことで知られるスタンダード「THE CHRISTMAS SONG」はオリジナル通りの英語詞で、アルバムに幅をもたらしている。また「ロンサム・シーズン」は岡田有希子への提供曲のセルフカバー。なお30周年記念作では2022年のリマスター音源を使用し、ボーナストラックには本作に近い時期のシングル収録楽曲のカラオケバージョンが収録。時代を超えて味わう価値のある名作だ。