敬愛されるスウェーデン人指揮者のヘルベルト・ブロムシュテットにとって、シューベルトは生涯を通じて愛情と省察を注いできた存在である。ブロムシュテットは、偉大なロマン派の作曲家による晩年の2つの交響曲に、広大な奥行を与え自然体で表現する。2021年11月にライプツィヒのゲヴァントハウスで録音された本作は、忘れがたい旋律の数々に彩られた交響曲に対し、オーケストラによる劇的な響きのコントラストを照らし出すなど、ブロムシュテットは繰り返されるテーマを何度でも新鮮に聴かせる優れた才能の持ち主だ。『交響曲第9番』第二楽章の儀式的な行進でのテンポ、音色の濃淡など、まさに巨匠ならではの深みある音楽が味わえる。1839年にシューベルトの記念碑的作品『交響曲第9番』を世界初演したゲヴァントハウス管弦楽団は、数え切れないほどの精緻な表現とフレージングで交響曲を完璧に仕上げている。