日本の偉大な指揮者である小澤征爾は、85歳となる誕生日をやはりベートーヴェンと共に迎えた。小澤は若き日ベルリンで、ベートーヴェンの指揮にかけて世界最高峰といわれるオーストリアの伝説的指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの下で学んでいる。一方で、今回のレコーディングが小澤の音楽人生の出発点における恩師であり、日本のクラシック音楽界の父である齋藤秀雄の名を冠したオーケストラと一緒に行われたものであることもうなずける。小澤征爾は国際的に輝かしいキャリアを誇り、特に29年におよぶボストン交響楽団との共演がその代表的なものとなった。ベートーヴェンの「交響曲第7番」と「レオノーレ序曲第3番」の歓を尽くした洗練された演奏は、小澤の音楽人生を生き生きと反映させ、東洋と西洋の文化の融合をまさに祝福するかのようだ。