灰色とわたし

灰色とわたし

灰色にくすみがちな空の田園の下から清らかに流れてくるかのような歌。湯川潮音にとってメジャーで2作目となるフル・アルバムは、彼女の原点を確かめ直すかのような、アコースティックでフォーキーな作品である。かつてアイルランド~ロンドンに留学した経験もよぎったのか、このアルバムでの湯川は単身でイギリスに渡っての制作を敢行。プロデューサーにクマ原田(ペンギン・カフェ・オーケストラの諸作への参加などで有名)を迎え、1ヵ月弱の共同生活の中で作り上げたという。自作曲、オオヤユウスケ、黒沢健一の曲のほかに、メリー・ホプキンがデビュー作「ポスト・カード」で披露したドノヴァンの曲 "恋は月をめざして" (Voyage of the Moon) のカバーを収録。ほとんどの曲がアコースティック・ギターのシンプルで清楚なバッキングが基本。そしてさらに透明度を増したヴォーカルは、過剰なものが氾濫する今の時代において、奇跡のように美しく響く。拠点となったロンドン郊外のスタジオは野生動物が棲んでいるような自然に囲まれた環境で、リラックスして取り組めたとのことだ。英フォークへのシンパシーを示してきたこのアーティストの、ひとつの到達点である。

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