三階建の詩

三階建の詩

抒情派を代表するフォークグループが時代の変節期に残した名作。彼らは本作で新たな姿を示しながら、その人気と評価の両方をさらに高めた。第2期メンバーでは3作目、“南こうせつとかぐや姫”から“かぐや姫”に名義を変更して初となるアルバムで、このグループが南こうせつ、伊勢正三、山田パンダの3人のソングライターからなるという事実をタイトルで表明した。1974年当時の彼らは、この前年に大ヒットさせた「神田川」によって反抗の代名詞だったフォークソングを個人的な感情で歌う“四畳半フォーク”に転換する流れを作ったとされ、何かと議論の渦中に置かれる存在だった。特筆すべきは伊勢の存在感で、彼は本作収録の「22才の別れ」を翌1975年のかぐや姫解散後に結成したフォークデュオ、風でシングルリリースして大きなセールスに結び付けたり、同じ年の後半にはやはり本アルバムの「なごり雪」がイルカのカバーによって反響を巻き起こしたりと、ソングライターとしての優秀さを印象付けることとなった。また、山田もアルバムを締めくくる叙情的な「こもれ陽」を提供するなど、3人の個性が出そろう仕上がりとなっている。海外のフォークミュージックをルーツとしながら、そこに日本的な情緒をちりばめた木田高介、石川鷹彦、瀬尾一三のアレンジャーたちの仕事ぶりも素晴らしい。

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