

1992年公開、宮崎駿監督の長編アニメ映画『紅の豚』のサウンドトラック。音楽は、『風の谷のナウシカ』から、5作連続となる久石譲が担当。1920年代末のイタリア、アドリア海を舞台に、“豚”に姿を変えた退役飛行操縦士の活躍を描く。オーケストラが軽快なリズムとメロディを奏でる「時代の風 〜人が人でいられた時〜」、ブラスバンドのマーチが心地良い「MAMMAIUTO」など、躍動感あふれる楽曲と、「マルコとジーナのテーマ」のタイトルとしても知られる郷愁のメロディの「帰らざる日々」、フルートやマンドリンの調べがシャンソンやカンツォーネなど、欧州の香りを漂わせる「Fio-Seventeen」、「夏の終わりに」などに代表される優雅な楽曲をバランス良く配置して構成。アドリア海の雄大な自然の美しさを表現した、アコースティック楽器とフルオーケストラによる豪華な世界を味わうことができる。また、時代背景や大人のラブストーリーをテーマにした作品らしく、楽曲全体に古き良きキネマの雰囲気を感じる内容で、これまでの宮崎駿作品での久石譲とは一味違う、新たな魅力に出会うことができるサウンドトラックといえるだろう。