VARIETY -30th Anniversary Edition-

VARIETY -30th Anniversary Edition-

「不思議! それは本当に、もう夢にも思わなかったし。どなたがその火をつけてくださったんでしょうね」と、竹内まりやは一大ブームを巻き起こした「プラスティック・ラヴ」について朗らかな表情でApple Musicに語る。2010年代以降、再評価されて世界中から注目を浴びた日本のシティポップ。その中でも特にこの曲はさまざまなカバーやリミックスを生み、多くのDJがプレイするなど、愛され続けていることに本人も驚いている様子だ。「特に東京の街の、ちょっとバブリーになろうとしてる、刹那的な感じとか、そういったものを少し揶揄(やゆ)する言葉が入っているのを象徴するのが『プラスティック』だったんです。一人の孤独な傷ついた女の子が強がってるんだけど、それを言うのにプラスティックという言葉がぴったりかなと思ったんですよね」。「プラスティック・ラヴ」が収録されたのは1984年4月リリースの6作目のアルバム『VARIETY』。『VARIETY -30th Anniversary Edition- 』はその30周年記念版となる。1970年代後半から活躍していた竹内は、1982年、山下達郎との結婚を境に表立った活動を休止。ソングライティングの仕事は続け、楽曲提供は行っていたが、そうした生活からシンガーとして復活を遂げたのが『VARIETY』である。時間をかけたことでバラエティに富んだ楽曲が集まり、このタイトルが選ばれた。「(主婦になって)初めて家の中にずっと入って、何時間でもピアノ触っていいっていう生活になったときに、出てきたものを自然に、次から次に達郎に渡すと、夢のような編曲が行われて。その編曲に対して自分がどう歌おうか、ボサノヴァだったらちょっとソフトに歌ってみようか、カントリーだったらちょっとカントリーライクな歌い方をしよう、とか。『Broken Heart』みたいな曲だったらソウルフルな感じのフレーバーを入れようとか…シンガーとしての自分と作家としての自分を両方、いろんな意味で味わえたというか、試行錯誤を許された感じがします」自分のアイデアを反映できたことで、竹内にとっても重要な作品となった『VARIETY』。「もう一度」や「本気でオンリーユー(Let’s Get Married)」といった人気ナンバーも入っているが、彼女自身のお気に入りはどの曲なのか、笑顔とともに教えてくれた。「最後に『シェットランドに頬をうずめて』というバラードがあるんです。ああいう何でもないバラードで景色が浮かぶような曲をやりたいと思ってたので、ちょっと地味な曲だけど好きな曲ですし。あと、ボサノヴァの『水とあなたと太陽と』みたいなのは、それまでやりたかったけどやれなかった一曲だったので、そういう曲もわりと好きですね」珠玉の楽曲が並ぶ『VARIETY』は大ヒットを記録。さらに30th Anniversary Editionには、当初は未発表だった「赤のエナメル」、リミックスバージョンの「プラスティック・ラヴ」などが追加されている。大人のラブソングに踏み出し、日本のポップスシーンの新たな扉を開いた竹内まりやの傑作に触れてみよう。

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