岩崎良美のディスコグラフィにおいてこのアルバムは、特別な立ち位置と言える。主題歌を歌ったテレビアニメ『タッチ』は1980年代半ばに放送され、一大ブームを巻き起こしたが、これはそのアニメに関連する楽曲を集めて録音されたもの。岩崎自身がオリジナル歌手であるテーマソングの4曲に加え、劇中では声優たちが歌っていた挿入歌も歌唱。カバー作品としての側面がある上に、すべての作曲に関わった芹澤廣明のルーツがアメリカンポップスであるため、ジェーン・バーキンに憧れ、フレンチ系のヨーロピアンポップス指向を持つ岩崎としてはイレギュラーな楽曲群を丁寧に歌いこなしている。デビュー当時から安定した歌唱力で活躍してきたシンガーだけに、歌のクオリティは高く、また、青春ストーリーを演じながら歌う彼女を楽しめる作品とも言えるだろう。