Fontaines D.C.が醸し出すのは、メロディックで現実的で不安げな、ポストパンクの誕生までさかのぼるDIYなヴァイブスだ。レーザーワイヤーのように切り付けるギター、ピストンのように激しく打ち付けるドラム、そしてボーカルのGrian Chattenの、ニヒルで単調であるのと同じくらい、賢く詩的な歌声。バンドの出身地であるダブリンは、彼らのサウンドと進化の中核だ。2018年のデビューシングル「Liberty Belle」でも、大ブレイクしたヒット曲「A Hero’s Death」でも、彼らのディスコグラフィに並ぶ曲ならほとんどどれを聴いても、Fontaines D.C.の疎外感をまとった歌に合わせて激しく頭を振る若者であふれ返る、薄汚れたアイリッシュパブのロマンティックなイメージを思い浮かべずにはいられないのだ。