

アーティストとしてブレイクを果たすのは大きな功績だが、オーディエンスの前でライブができないという世界規模のパンデミックのさなかにおいてはなおさらそうだ。Wallowsはまさにそれを2020年に成し遂げ、メンバー同士が会えない中で曲作りやレコーディングを続け、ボイスメモを使って録音してシェアしたアイデアやボーカルをまとめていくことによって、外出自粛の期間を最大限に活用したのだった。その結果生まれたのが、ロサンゼルス出身の3人組である彼らがまさにふさわしい名前を付けたEP『Remote』だ。創意工夫にあふれたポップが予想外に飛び出してくるこの作品は、ジャンルにかかわらず今年の真の成功作に数えられるほど際立っている。それは時代の奇妙な瞬間を捉えたスナップショットであり、2020年に新たな試みをするアーティストなら誰でもホームにできる場所として、オルタナティブミュージックが進化し続けたことの証拠でもあるのだ。それは、 Peach Tree Rascalsの万華鏡のようなR&Bにも、フィービー・ブリジャーズの光輝くフォークだにも、Machine Gun Kellyの突然変異したポップパンクにも言えることだ。