

伝説的作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの音楽について多くの人々が持つイメージといえば、軽やかなテンポの曲でも、ゆったりと漂うような曲でも、いつも長調で、明るく、穏やかな雰囲気にあふれている、というものだろう。それもそのはず、モーツァルトがその短い音楽家人生の中で生み出した多くの作品のうち、短調で書かれたものはほんの少ししかないのだ。例えば、彼が遺した41の交響曲の中ではたった2作、27のピアノ協奏曲の中でもわずかに2作、23の弦楽四重奏曲の中でも同じく2作のみが短調の作品。しかし、実はモーツァルトの短調の楽曲の中には、彼のキャリアを代表する非常に情熱的で、大胆で、表情豊かな逸品が多くある。このプレイリストではモーツァルトのそんな“ダークサイド”を垣間見ることができる。