

バイオリン2本、ビオラ1本、チェロ1本からなる、シンプルかつ豊かで絶妙にバランスが取れた弦楽四重奏の響きは、時代を超えて作曲家たちを魅了してきた。現在まで脈々と受け継がれているこの様式の存在価値を決定付けたのは、“弦楽四重奏の父”との異名をとる偉大な作曲家、ヨーゼフ・ハイドンだといえるだろう。ハイドンはおびただしい数の弦楽四重奏曲を書き、古典派時代の音楽の礎を築いた。そのハイドンの後に続いたモーツァルトやベートーヴェン、20世紀に活躍したバルトークやショスタコーヴィチによる弦楽四重奏曲は、彼らの作品の中でも非常に重要な位置を占めるものと考えられており、その中には激しい表現を伴いながら作曲家の内面をさらけ出すような、大胆な作品も多く見られる。