オーストラリアにおけるクラシック音楽の歴史はヨーロッパのそれと比べて当然ながら浅い。しかし南半球に浮かぶこの大陸からは、個性豊かで魅力的な音楽が多く生まれているのだ。ヨーロッパ人の入植が始まったのは18世紀の終盤。そしてこの地で本格的なクラシック音楽が芽吹いたのは19世紀も半ばに差し掛ってからだった。このころからオーストラリアは急速に発展していき、その中で本格的な合唱団やオーケストラが創立されるなど、音楽文化の基盤も整っていった。20世紀に入るとビクトリア州生まれの作曲家／ピアニスト、パーシー・グレインジャーが国際的に活躍する。その後はオーストラリアに生まれ育った多くの作曲家たちや、さらにはこの国に移住してきた音楽家たちによって、先住民の文化や、多様でユニークな野生動物たち、そして息をのむような大自然の風景にインスパイアされた、オーストラリアならではのクラシック音楽が次々と生み出されている。