多くの人にとって、クラシック音楽の歴史におけるアイルランドという島の存在感は、それほど大きなものではないかもしれない。しかし、ヨーロッパの中心からやや離れた場所にあるこの島出身の作曲家たちは、クラシック音楽の発展に大きな貢献を果たしてきた。夜想曲というスタイルの創始者とされ、ショパンをはじめとする後進たちに多大な影響を与えた19世紀初頭の作曲家／ピアニスト、ジョン・フィールドは首都ダブリンの生まれ。長く暮らしたロシアでも高い人気を誇った。同じくダブリン出身で19世紀終盤から20世紀初頭に活躍したチャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォードは王立音楽大学の創設メンバーで、7つの交響曲をはじめとする多くの作品を遺している。彼の弟子の中にはホルストやヴォーン・ウィリアムズがいた。そして近年では、Gerald Barryやビル・ウィーランといった作曲家たちが、創造性豊かな楽曲をアイルランドから世界に向けて発信している。“エメラルドの島”のみずみずしい音楽との素敵な出会いをどうぞ。