I. JORDANの音楽の中では、レイブの黄金時代が生き続けている。イギリスのサウスヨークシャー州出身のI. JORDANが手掛ける作品は、躍動するブレイクビーツや突き刺すようなピアノ、そして、1990年代初頭にイギリス各地のナイトクラブや野外フェスティバルの泥だらけのフィールドをいっぱいにした、サウンドのエコーにあふれている。I. JORDANは親しみのあるサウンドに新鮮味をもたらす才能の持ち主だ。2020年の「Rave City」ではトランスのシンセサイザーとドラムンベースのリズムを融合し、「Let’s Go!」ではフレンチハウスのフィルター処理を施したディスコループを強化している。しかし、I. JORDANの作品を本当に際立たせているのは、さりげなくちりばめられたアンセム的な要素だ。それは、ダンサーたちに数メートル浮遊しているような気分をもたらす「And Groove」を聴けばすぐに分かるだろう。