英マンチェスター出身、1990年代前半からソロシンガーとして活動を続けるデビッド・グレイ。活動初期には素朴なアコースティックサウンドを鳴らしていた彼だが、1998年リリースの「White Ladder」が全世界で驚異的なロングヒットを記録、一躍トップシンガーの仲間入りをした。フォークギターとブレイクビーツが絡まり合うエレクトロニカ調のナンバーから、ストリングスやピアノをフィーチャーしたエレガントなポップスまで、キャリアを重ねる中で彼のサウンドは自然と広がりを見せた。そんな中、常にリスナーの心に深く染み渡るほろ苦く、温かい詩情は変わることがない。人生の挫折と回り道を続けた遅咲きの才能だからこそ、その歌は説得力を持っているのかもしれない。