シーンの最前線で活躍し続けたロックンロールバンド、シーナ&ロケッツ（以下、シナロケ）。シーナ（Vo）と鮎川誠（G/Vo）が中心となって1978年に結成された。鮎川は、福岡からその名を全国に轟（とどろ）かせたSONHOUSEの元メンバーで、すでに妻となっていたシーナと共に一念発起して上京し、そこで立ち上げたのがこのシナロケだった。ロックシンガーとしてのきらびやかさを放つシーナと洋楽ロックに造詣の深いギタリスト、鮎川との相性は抜群で、特にライブのパワフルなパフォーマンスは特筆すべきもの。音楽的にはパンクやブルースを下地にしたロックンロールだが、YELLOW MAGIC ORCHESTRAの人脈とのコラボレーションでヒットした「YOU MAY DREAM」（1979年）に代表されるように、オールディーズやパブロック、テクノポップにニューウェーブなど、時代や状況に呼応した音作りを見せるのも特徴だ。ウィルコ・ジョンソンをはじめ海外アーティストとの交流でも有名。音楽的にも、その存在感としても、シナロケが日本のロック史に刻んだ足跡は巨大である。