Zeebra

タイトなライミングや変幻自在なフロウといったラップのスキルはもちろん、派手でゴージャスなスタイリングやセルフブランディング、さらには音楽シーン内外での立ち居振る舞いまで、Zeebraはさまざまな面で日本におけるラッパー／ヒップホップアーティストのイメージを体現してきたアイコニックな存在といえるだろう。KダブシャインとDJ OASISと共に結成したキングギドラの一員としてシーンに登場し、1995年にアルバム『空からの力』をリリース。ホットなトピックに鋭く切り込み、日本語で韻を踏みながらスムーズなフロウで聴かせる。日本語でのラップ表現に対する命題に一つの解答を示してみせたこの作品は、その後の日本のヒップホップシーンに絶大な影響を及ぼした。1997年にソロ活動を本格化させると、Zeebraはストーリーテリング、ボースティング、メッセージソング、パーティーチューンといったアメリカのヒップホップの定番といえるテーマやトピックを見事に日本語で表現してみせた。ダイナミックでスケールの大きなラッパー像を確立し、「MR. DYNAMITE」（2000年）、「Street Dreams」（2005年）といったヒップホップクラシックを発表。確かな実力を誇るシーンの顔としての地位を揺るぎないものにした。その後も常にフレッシュなラッパーやプロデューサーをタイムリーにフックアップしながらラッパーとしての自分自身をアップデートしていく。また、俳優としての映画出演や、2010年代にはフリースタイルMCバトルを盛り上げる起爆剤となった番組やイベントのプロデュース／オーガナイズ、さらには風営法改正のための社会活動に至るまで、そのフィールドは幅広い。ヒップホップカルチャーの普及、啓蒙に努めてきた日本のシーンの最重要人物の一人だ。