2018年の末、Joji（本名：George Miller）がアジア生まれのソロアーティストとして初めてヒップホップとR&Bチャートでトップになった時、彼の心境は複雑だった。一方では、もちろん彼は喜んでいた。 人々が彼の音楽を聴いているだけでなく、彼は彼自身よりも大きな存在として、ポップミュージックにおける人種と表現の流れを変える新たな一章となったのだから。しかし一方で、彼は自分をアジア人アーティストだと思ったことはなく、単にアーティストだと思っていた。彼は自身をこのカルチャーにおいてはゲストのような存在だと考えている。良い客がするように、そこで彼は謙虚な振る舞いをしたいと思っていた。あるいは、彼がかつて冗談で語ったように、家に上がるときは靴を脱ぐ人でいようとした。1992年に大阪で生まれた彼は、動画投稿サイトの有名番組で、Filthy Frank と Pink Guyの2つのキャラクターとしてキャリアを開始した。これらのプロジェクトは必ずしも彼のアーティストとしての野心を反映してはいなかったが、彼が移り変わりの激しいインターネット文化に精通していることを証明した。そして2017年の後半にJojiとしてデビューして以来、彼は、所属する88risingの仲間たちをはじめとする若手ヒップホップ／R&Bアーティストを代表する声となり、アジア人オーディエンスとアメリカ人オーディエンスをごく自然につなぐことに成功。グローバルカルチャーとネット上での境界線のない世界の両方において、変化し続ける人口を反映する存在となった。そして、ムーディで気だるい感じのバラードと艶のあるエレクトロポップが一体となった彼の音楽は、ますますデジタル化が進む社会において、出自はさほど重要ではなく、その人が何に情熱を注いでいるかということこそが重要であるというのをはっきり示している。