ジョン・エリオット・ガーディナーは、綿密な準備と、直感に基づく即興性の両面で大きな称賛を受けている。また古楽を得意とする厳格な合唱指揮者として名声を確立したガーディナーは、ピリオド楽器による演奏はもとより、ロンドン交響楽団やウィーン・フィルハーモニー管弦楽団といった現代的なオーケストラの指揮も得意としている。さらに1983年から1988年にかけてリヨン国立歌劇場の音楽監督を務めた彼はオペラにも造詣が深い。1943年にイングランド南西部ドーセット州のフォントメルマグナで生まれたガーディナーは15歳で指揮を始め、ケンブリッジ大学の学生時代にモンテヴェルディの1610年の晩課を指揮した時にプロとして音楽を追求するように促され、進むべき道を決めた。卒業後にはパリの偉大な音楽教師ナディア・ブーランジェに師事して鑑識眼を磨き上げ、歌手や楽器奏者に対して恐ろしいほど高い精度を求める指揮者となったのだ。彼は自身の理想を実現するため、1964年にモンテヴェルディ合唱団を、1978年にはイングリッシュ・バロック・ソロイスツを、そして1989年には19世紀の楽曲を演奏するためにオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティックを結成している。そしてガーディナーとモンテヴェルディ合唱団、イングリッシュ・バロック・ソロイスツは、2000年に1年かけて各地でバッハの全カンタータを演奏するという“バッハ：カンタータ巡礼”や、モンテヴェルディの生誕450年を記念した2017年の世界ツアーといった壮大なプロジェクトを敢行した。