Glass Animalsというバンド名は、辞書に載っている2つの単語をランダムに選んで付けられたといわれている。素朴なものと原始的なものの間を行き来するグループにとって、これ以上の組み合わせはなかっただろう。オックスフォード出身の4人組であるGlass Animalsは、2014年のアルバム『Zaba』でデビュー。レディオヘッドのムーディな雰囲気やAnimal Collectiveのトロピカルなテクスチャーを想起させるサウンドで、アブストラクトなオルタナティブロックの系譜に名を連ねた。しかし、Glass Animalsは先鋭的なアーティストたちから影響を受けながらも、Dave Bayleyによるスムーズな歌声によって官能的なR&B風のポップソングに仕上げることができた。『Zaba』が彼らをインディーシーンの寵児にした一方で、2015年のシングル「Lose Control」では、ブルックリンのMCジョーイ・バッドアスとトリッピーなラップトラックに挑戦し、典型的な音楽誌『NME』の読者層だけでなく、幅広いファンを獲得することに成功した。この何でもありのオープンな感覚は、2016年リリースの『How to Be a Human Being』で完全に開花した。アルバムに収録された奇妙でファンキーなアンセムや、シンセサイザーを駆使したスロージャムの数々により、Glass Animalsは初めてマーキュリー賞にノミネートされた。だが、2018年にドラマーのJoe Seawardが自転車事故で命を落としかけたことをきっかけに、2020年のアルバム『Dreamland』ではサウンドの奇抜さが抑えられることになる。バンドは自分たちの音楽の中心にあるアートロックとクラブポップの融合をさらに調和させ、より親しみやすい作品を完成させた。『Dreamland』に収録されたシングル「Your Love (Déjà Vu)」について、BayleyはApple Musicにこう語る。「アイデアとしては、ティンバランドやザ・ネプチューンズのような、僕が大好きな1990年代のプロデューサーたちのサンプルの使い方を参考にしつつ、その多くのサウンドをビートルズやザ・ビーチ・ボーイズがやっていたような方法で録音するというものだった。そして、ビートルズやザ・ビーチ・ボーイズのサウンドを、（前出のプロデューサーたちが）やったであろう方法で再びサンプリングするんだ」。『Dreamland』がUKとUSの両方でトップ10入りしたという事実は、異なるスタイルや時代を取り入れ、そこから今のサウンドを生み出すことができる、Glass Animalsの希少な才能を証明している。