山下達郎
山下達郎

山下達郎

山下達郎について

山下達郎の音楽の中には、彼自身の少年性が息づいている。それは「僕の中の少年」や「アトムの子」といった、本人が自分の少年時代を振り返った歌があるからではなく、作品全般に総じていえることだ。音楽に対して純粋で、熱心で、のめり込んだらどこまでも。山下の作品の底には、そのぐらいの熱量が常にたたずんでいる。

もっともこの破格の才能の持ち主を、そんなナイーブな表現だけで済ませられないのは承知している。山下は日本のポップミュージック界屈指の重鎮で、過去からずっと試みてきた先駆的なチャレンジの数々は音楽シーンの礎となっている。例えばアーティストである一方、ギタリストやコーラスなどのミュージシャン業務、曲提供をするソングライター、CM音楽の制作、サウンドプロデューサー等々、いくつもの仕事を受けてきたこと。自らスタジオを所有し、制作環境を整備すること。音楽を作る際には常に精進し、妥協せず、徹底的に取り組むこと。アメリカンポップスなどの自身のルーツをこの日本で独自解釈し、新しい音楽をクリエイトすること。また、そうして自らが愛したカルチャーについては、その伝承者、もしくは継承者としての役割も担うこと。これらの多くは先輩格の大滝詠一からの影響もあるだろう。ただし山下は、かつて所属したSUGAR BABEからソロに転じての初期に当たる1970年代の間は決して恵まれた状況ではなく、試行錯誤を繰り返した。

しかしこの時期の経験はのちに大輪の花を咲かせた。1980年代に差しかかると「RIDE ON TIME」「あまく危険な香り」といったヒットシングルをものにしたのだ。そんな中でもこの一曲ということになれば、やはり「クリスマス・イブ」が筆頭に来るだろう。毎年クリスマスシーズンが迫るとシングルチャートにランクインしてきたこの曲は、もはや風物詩として認知されている。なお、この歌の後半で聴かれる多重コーラスも山下が切り開いた音楽的なアプローチである(そのこだわりが発揮されているのが一人アカペラで録音された『ON THE STREET CORNER』のシリーズだろう)。

また彼について、世界に向けてはシティポップのオリジネイターという紹介の仕方ができる。2000年代に入って世界各地から向けられた日本のシティポップへの熱視線は、特に初期の山下の作品への再評価を引き起こした。ことにアルバム『FOR YOU』のアナログ盤はマニアたちが国境をまたいででも入手したがっている名作である。

こうした山下の多くの功績は、ひとえにその徹底主義、完璧主義によるところが大きい。そのぐらい超プロフェッショナルで、タイアップやアイドルなどへの曲提供においても手を抜くことがない。ただ、そんな彼の音楽は、曲のどこかで必ず高揚感や叙情性があって、そこに音楽に対しての真っすぐで純粋な姿が見える瞬間がある。きっとそれは山下自身が子供のころにラジオの前で心を躍らせたヒットソングへの高ぶりやワクワク感からつながっているものだろう。彼が作る音楽はどこかまぶしく、純粋で、まるで少年の瞳のような輝きが宿っているのだ。

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