100 Best Albums
- 1997年5月21日
- 12曲
- Pablo Honey · 1992年
- The Bends · 1995年
- OK Computer · 1997年
- Kid A · 2000年
- The Bends · 1995年
- OK Computer · 1997年
- OK Computer · 1997年
- OK Computer · 1997年
- OK Computer · 1997年
- The Bends · 1995年
必聴アルバム
- 当時、アルバムの購入価格をリスナーが自由に設定できる画期的システムを導入して話題を呼んだ2007年リリースの作品。「Kid A」以降、バンドサウンドを否定し、エレクトロニクスのミニマリズムや先鋭性を果敢に取り入れてきたレディオヘッドが、ついにロックと非ロックの対立構造を脱し、その融和点を見出したエポックメイキングな一作。クラウトロックのビートとノイズギターが激しく絡み合う"Bodysnatchers"から、らせん構造を高速で滑り降りるような"Jigsaw Falling Into Place"をはじめとするギターロックに回帰したナンバー、待望の収録となった幻の名曲"Nude"や、ポリリズミックなギターが柔らかな残響を生む"Reckoner"のようなミニマルなナンバーまで、その内容は多岐にわたり、アルバムの隅々まで美しい調和が保たれている。
- 1997年のサードアルバム『OK Computer』をきっかけとして、トム・ヨークは自分たちがロックバンドをやっているという事実に抵抗し始めていた。同作を経たレディオヘッドは多少のストレスと叫び、そして狂気をもって、いよいよロックバンドのルールからの脱却を決意することになる。そうして誕生した革命的なアルバムが、『Kid A』だ。 レディオヘッドは『Kid A』でオーセンティックなギターロックを捨て、エレクトロニカやアンビエント、ジャズ、クラウトロックなどに大胆に移行。サンプルやループを多用したサウンドメイキングや、フレーズをランダムに組み合わせた抽象的な歌詞によって、ロックの定型を切り刻んでみせた。船酔いしそうなシークエンスとヨークの多重ボーカルが、オランダの版画家マウリッツ・エッシャーのスケッチのように折り重なる「Everything In Its Right Place」は、「Creep」に象徴されるかつてのレディオヘッドから、彼らがいかにこの不気味なサウンドに飛躍したのかを策略的に伝えるナンバーだ。しかし同曲は『Kid A』の異様さのごく一部にすぎない。「The National Anthem」のフリーキーなベースやほえるようなホーン、「Motion Picture Soundtrack」のオペラチックな揺らぎ、「In Limbo」の屈折したギターと幻惑的なリズムなど、レディオヘッドはどの曲でも新たな空間を発見している。
- 『OK Computer』ほど大胆で、革新的で、聴く者を不安な気持ちにさせるアルバムも他にない。ロック探求の新たなフロンティアを告げるだけでなく、テクノロジーというおもちゃに対するミレニアル世代以前の萌芽的な関心、そして懸念をも表現した偉業的一作だ。この恐怖と忘却に満ちた12曲の中で、トム・ヨークは自分を取り巻く社会から疎外されながら、“僕が見たい世界”を目撃するためにエイリアンに誘拐されることを切望している。それは深く人を不安にさせる歌曲集であると同時に、深く人を引きつけるものでもある。ロックンロールのサウンドを野心をみなぎらせて再編成させた本作は、ロックンロールという形式において最も先鋭的で必然的なステートメントの一つとなったのだ。 そして同時に、『OK Computer』は究極的には希望に満ちた作品でもある。人類の避けがたい進歩の過程において、必ずしも私たちの善良さを犠牲にする必要はないという信念が表れているからだ。そして目まぐるしいスピードに対処する方法があるとしたら、それは簡単なことだ。「おまえ、スピードを落とせよ(Idiot, slow down,)」。これはアルバムを締めくくる「The Tourist」でトム・ヨークが歌う一節だ。『OK Computer』によって、レディオヘッドがロックの新たな旗手となって数十年、加速する孤立に対する私たちの怒りは募るばかりだ。しかし、その答えと希望はまだ残っている。
- シリアスなオルタナティブギターバンドとしてデビューしたレディオヘッドが、評価と人気を確実にした1995年発表のセカンドアルバム。透き通るようなコーラスパートが耳に残る"High and Dry"やグランジーな"Just"の他にも、サンプリングしたドラムのループが先導する"Planet Telex"、さらに本作リリース後にバンドが手にする世界観を暗示するような"Bullet Proof ... I Wish I Was"のメランコリアなど、楽曲の幅の広がりがアルバムに一層の奥行きを与えている。また、プロデューサー、ジョン・レッキーのアシスタントとして、次作以降に大きな貢献を果たすエンジニア、ナイジェル・ゴッドリッチとバンドが出会った作品としても重要だろう。
- 2007年
- 2021年
- 2021年
- 2017年
- 2017年
- 2017年
アーティストプレイリスト
- 世界的な人気を誇る英国のロックバンド。現代音楽などを取り入れた高い音楽性が魅力。
- トム・ヨークの歌声に繊細な音が絡み合って生まれる世界観を、ビジュアルで。
- 実験的な音作りで、ジャンルを超えたアーティストにインスピレーションを与えた。
ベストアルバム、その他
レディオヘッドについて
レディオヘッドは、バンドという存在を超えたシンボルであり、ロックにおける大衆性と実験性が両立できることを体現してきた。純然たるアートにも、アリーナ向けのロックにも変化できるのだ。彼らが両者の隔たりを埋めた最初のバンドとはいえないにしても(先達のデヴィッド・ボウイに加え、ピンク・フロイドやビートルズが成し遂げている)、最も妥協がなかったのはレディオヘッドなのかもしれない。クラウトロック、20世紀のクラシック音楽、テクノ、アンビエントといった、ポップとはかけ離れた世界へとリスナーを引きずり込もうとするその音楽は、ほとんど挑戦のようにも感じられた。キャピトル・レコードのとある重鎮が2000年の『Kid A』のリリースに際して口にした通り、果たすべきはレディオヘッドを中心へ押しやることではなく、中心を彼らの方へ近付けることなのだ。1985年にイギリスのオックスフォードシャーでこのバンドが結成された時、メンバーはまだ10代だった。バンド練習日に由来した“On a Friday”が最初のバンド名で、後の彼らの傾向と比べれば随分と直球のスタイルだったようだ。やがてジョイ・ディヴィジョン、ザ・スミスなどイギリスのポストパンクや、R.E.M.、Pixiesといった初期のUSインディーロックに影響を受けた彼らのサウンドは、当初彼らがシーンに迷い込んでしまったグランジと一緒くたにされた。今となっては信じがたいが、1990年代のギターロックシーンを代表する重要曲となった「Creep」がヒットしたのは、リリースから1年近く経ってからのことである。バンドはこの曲によって、U2が提唱するオルタナティブアンセムの後継者という役割を新たに担うようになった。その後、1997年の『OK Computer』を始まりに、アルバムの発表ごとにその野心を増していき、従来型のロックバンド像からは限りなく逸脱しながらも、オーディエンスをつなぎ止めていた。そのバランスを保てたのには、シンガーのトム・ヨークによる貢献が大きかったようだ。彼は疎外感のある政治的なテーマを不気味なほど親しみやすく、居心地の良いものにしてみせた。結成から数十年を経てもなお、彼らは2011年の『The King of Limbs』のリズミカルな瞑想性から、2016年の『A Moon Shaped Pool』のストリングスに彩られた牧歌的ともいえる不安感まで、さまざまな変化を続けている。音楽制作において実験的であった彼らは、そのプレゼンテーションにおいてもかなり型破りなやり方を貫いてきた。例えば『Kid A』はインターネットを通して宣伝された最初のアルバムの一つであり(最後までシングルが出されなかった)、2017年の『In Rainbows』は、購入者が価格を決めるというシステムでダウンロード販売され、それは彼らのような規模の大きなバンドにとっては前代未聞のやり方だった。そして2017年に『OK Computer』がリリース20周年を迎えた時、それが名作でありながら、なおも未知の世界へ突き進み続けているという点で、レディオヘッドはほとんど誰もなし得ないレベルに到達したのだった。
- 出身地
- Oxford, England
- 結成
- 1985年
- ジャンル
- オルタナティブ