リル・ウージー・ヴァート

リル・ウージー・ヴァート

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リル・ウージー・ヴァートについて

リル・ウージー・ヴァートは、プレイボイ・カルティの「Wokeuplikethis*」の冒頭でこう言い放った。「自分はロックスターだ」。幼いころマリリン・マンソンとアニメに親しみ、ポスト・カニエ時代の稼ぎ頭だったウージーにとっては、それは優位性を示すというよりも、話題性を狙ったメタファーだった。ヒップホップの伝統には無関心であるがゆえ、ウージーは一部の人間からはごろつきと見られたが、その他大勢にとってはヒーロー的な存在だった。ジェイ・Zが「俺はビジネスマンじゃない、俺自身がビジネスだ」と言ったように、過去の世代のラッパーたちが音楽業界やビジネスに積極的に関わっていくのを通じて影響力を活用したのに対し、ウージーはファッションやソーシャルメディアに長けた世代を代弁する。レコーディングアーティストとしてだけでなく、その個性や世界観を構築するセンスはクリエイティブディレクターのようで、音楽と同じくらい声高に存在感を放つ。「XO TOUR Llif3」では「もう限界だ、友達はみんな死んだ (Push me to the edge / All my friends are dead)」というストレートな歌詞をシンガロングに落とし込み、その名はますます広まった。痛みを感じ取り、見事にまとめることができる人間。そういう意味では確かにロックスターかもしれない。間違いなく、従来の意味でのラッパーでないのは確かだ。1994年にノースフィラデルフィアで生まれたリル・ウージー・ヴァート(本名Symere Woods)は、クラスメイトに競り勝つためにラップを始め、ヤング・サグやミーゴスにフィーチャーされてたちまち全米で知られる存在となる。その一方で、固い絆で結ばれたプロデューサーやコラボレーターたちとプロダクションコレクティブのWorking on Dyingを地元で結成した。ヤング・サグ同様、ウージーもまた他とは一線を画すラッパーだが(そのステージネームは与えられたものであり、誰かから奪ったものではない)、サウンドの肝となるのはメロディだ。ポストトラップのスタイルに、ポップパンクの耳障りのいいフックとEDMの華やかさが融合し、現代ヒップホップの原石にプリズムのような色彩をもたらす。2017年の大ヒット作品『Luv Is Rage 2』以降は、制作中の音源をすべて消去して引退すると発表したが、結局2020年に再びシーンに現れた。都市伝説のごとくうわさされた『Eternal Atake』をリリースし、その約1週間後には倍の長さのデラックス版を発表。おそらくは暇を持て余し、何かやることを見つけなくてはならなかったのかもしれない。2017年のApple Musicとのインタビューでは、自らをエイリアンと称したが、 現実はもっと面白い。ウージーは地球人であり、今、この俗世に生きている人間なのだ。

出身地
US
生年月日
1994年7月31日
ジャンル
ヒップホップ/ラップ