ラナ・デル・レイ

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ラナ・デル・レイについて

1960年代のハリウッドスターのような名前とルックスの持ち主であるラナ・デル・レイは、インターネットの時代でなければ世に出ることはなかっただろう。人々がソーシャルメディアの力を借りてアイデンティティを選び取り、理想の自分をオンラインで発信する時代において、1985年ニューヨーク生まれの彼女は、かつてはLizzy Grantという名前で売れないシンガーソングライターとして過ごした経験を経て、2011年の画期的なシングル「Video Games」でラナ・デル・レイとして生まれ変わることに成功したのだ。その「Video Games」は、オーケストラアレンジによる切ないバラードである。ミュージックビデオには、インスタグラムのソフトフォーカスフィルターが普及する前触れともいえる、8ミリカメラ風の映像が用いられた。彼女はコケティッシュでセクシーな若い女性というありきたりなイメージをあえて利用することで、男性の行動、ひいてはアメリカ人のイド(本能的衝動)を探り、傷心やインターネットを面白がるファム・ファタールとして現われたのだった。この曲は、情報の共有が進み過ぎた現代にも、真の神秘性を培うことができることを証明しただけでなく、普段はエネルギッシュなポップソングで占められたトップチャートに、『ツイン・ピークス』並みの物憂いアートポップが入り込む余地を作り上げた。それ以来、ラナは常にリスナーをハラハラさせる存在であり続けている。クラシックロックの伝承と等しく、モダンヒップホップのアティテュードに関する知識にも長けた彼女は、ドリームポップのセレナーデにさりげなくルー・リードの名を持ち出す(2014年の「ブルックリン・ベイビー」)ことも、先進的なR&Bアーティストのザ・ウィークエンドと心を通わせる(2017年の「Lust for Life」)ことも難なくこなしてみせる。単にレトロなスタイルを取り入れるだけでなく、破壊的で時に冒涜(ぼうとく)的でもあるアンチラブソングを通して、ラナはいかにもアメリカ的なノスタルジックのイメージを打ち壊し、その一方でポップカルチャーの残骸を高尚なアートにも昇華させていく。エルトン・ジョンによる1970年代初期の名作に肩を並べる2019年の傑作『Norman Fucking Rockwell!』では、サブライムが遺した1990年代のファンクのアンセム「Doin’ Time」をカバーしてムンムンするようなトリップホップに変身させたことからも、ラナ・デル・レイのミステリーはこれからも書かれ続けることを確信させる。

出身地
United States of America
生年月日
1985年6月21日
ジャンル
オルタナティブ