最新リリース
- Gould & Bach: Perfect Match · 1960年
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- J.S. Bach - Prelude No. 1 in C Major, BWV 846 - Single · 2024年
必聴アルバム
- このアルバムには、万華鏡のように多彩で優雅なバッハ作品がたっぷり収録されている。アイスランドの気鋭のピアニスト、ヴィキングル・オラフソンは、バッハが元々鍵盤楽器のために書いた楽曲と、後に続いた音楽家たちが鍵盤楽器のために編曲した作品とを巧みに織り交ぜ、リスナーをバッハの広大な音楽世界を巡る旅へと誘う。ラフマニノフの編曲による"無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006: 第2曲:ガヴォット"では高度なテクニックを披露しつつも愛嬌たっぷりの演奏を聴かせ、ジロティがアレンジした"前奏曲とフーガ ホ短調 BWV855a: 前奏曲 第10番 ロ短調"では胸が張り裂けるような切なさを描き出す。バッハの楽曲の中では耳にする機会が多くない「イタリア風のアリアと変奏 イ短調 BWV989」を素晴らしい演奏で聴けるのも嬉しい。時を超えて人々を魅了するバッハ作品の神秘的な力を改めて感じさせてくれる快作である。
- 「作曲されてから300年以上の時が流れてもなお、私たちが困難の先に進んで行くべき道を示してくれる、この音楽が持つカとは一体何なのか」。ヨーヨー・マはウェブサイトで、本作のリリースに先駆け、バッハの無伴奏チェロ組曲についてこう問いかけた。そして彼はその問いに対し、このアルバムにおける説得力にあふれた力強いパフォーマンスで、はっきりと答えている。 コンサートでこの作品を演奏し続けているヨーヨー・マは、バッハの音楽には“無限の多様性”があり、この組曲においては、バッハが作曲家として「チェロができることのすべてを理解する」ことに努めていると指摘する。さらにヨーヨー・マは、生涯のほとんどを教会音楽家として過ごしたバッハが、例外的に教会を離れていた時期にこれらの組曲を書いたことについてこう語っている。「その数年間は、バッハにとって長期休暇のようなものだったのではないでしょうか。彼はこの時期を、“さて、あらゆる実験ができるこの研究室で何ができるかな?”という気持ちで楽しんでいたのではないかと思うのです」。そしてヨーヨー・マは、バッハがこれらの組曲で、チェロの楽器としての可能性のみならず、言葉にできないものを表現する、さらには自然やヒューマニティにまで踏み込む、音楽そのものの力を試していると言う。 ここからはヨーヨー・マがそれぞれの組曲を解説しながら、自身の解釈の深層へと案内してくれる。 『Unaccompanied Cello Suite No. 1 in G Major』 『Suite No. 1』は、私が4歳の時、一番初めに習った曲です。私はずっとこの組曲が、自然や水の中にある何か、つまり無限の多様性を持つ何かを表現しているものだと感じています。一方、冒頭の楽章では音楽的に興味深いことが起きています。中ほどで一度曲が止まってしまって、その後、より力強い雰囲気で再構築されていくのです。これはバッハが何度も実験しているストーリー展開の一つで、私たちの社会の中で行っていることとも似ているかもしれませんね。 『Unaccompanied Cello Suite No. 2 in D Minor』 実はこの『Suite No. 2』の第1曲は、私が5歳の時にパリで初めて行った公演で演奏した曲です。他の多くの組曲と同じように『No. 2』も、頭部、心臓部、手という構造になっていて、第4曲のサラバンドが心臓部、メヌエットとジグが足となっているのです。第1曲はまたも途中で止まってしまいます。どこかにたどり着こうと、努力して、努力して、努力して、そして音楽も一緒に戦っているのに、どうしても打ちのめされてしまうような、そんな雰囲気を感じます。しかし、『Suite No. 2』は、希望の音で終わります。この無伴奏チェロ組曲の中でも、今日に至るまでずっと大好きな組曲の一つです。 『Unaccompanied Cello Suite No. 3 in C Major』 純粋な喜びを表現した音楽に出会えた時は、とても素敵な気分になります。人間が成し遂げたことに対する喜びと祝福。豊かな自然の恵みに対する喜びと祝福。『Suite No. 3』では、チェロの可能性のすべてを知りたいと願っていたバッハの表現を存分に味わうことができます。 『Unaccompanied Cello Suite No. 4 in E-Flat Major』 三つの組曲を終えたバッハはチェロを完全に理解したと感じ、今度は、「果たしてチェロは私がして欲しいと思っていることができるのだろうか?」という次なる問いに自ら答えていきます。そして『Suite No. 4』からこの楽器の可能性を拡大していき、構造にも手を加え始め、リスナーは見知らぬ場所へと連れ出されます。このアプローチは驚くべき成果を上げ、私たちを未知の領域へと導いていくのです。 『Unaccompanied Cello Suite No. 5 in C Minor』 バッハが十分に機能しないある種のパイプオルガンに不満を抱いていたことはよく知られていますが、それはチェロについても言えることでした。『Suite No. 5』に入る頃には、「もっと豊かさが欲しい」と考えるようになったのです。しかし、それはチェロには無理なことでした。そこでバッハはどうしたと思いますか? 彼は1本の弦のチューニングを下げることで、よりエモーショナルな表現を追求したのです。さらに彼は、ピュアで即興的なものである前奏曲にフーガを取り入れるという、当時の音楽において最も複雑な手法を使っています。そして後に続く一連の舞曲は、それぞれに異なる次元へとリスナーを連れていってくれます。 『Unaccompanied Cello Suite No. 6 in D Major』 バッハはチェロのすべてを把握したと自負した上で、この楽器にもっと多くのことを望みました。そして彼は弦を1本追加したチェロのために『Suite No. 6』を書いたのです。それは彼の望みをかなえる楽器でした。私たちはこの曲を通常のチェロで弾くのですが、かなりの高音域に達するので演奏がとても難しくなります。しかし、バッハがこのような高い音を求めた意図は、テクニックの見せ場を設けるためではなく、高みへと届く“建造物”を作るためなのです。バッハはこの『No. 6』で、天空へと手を届かせ、私たちを崇高な世界、超越的な世界、そして宇宙的な祝祭へと導いてくれます。
- 1727年に初演が披露されて以降、イースターの祝祭で優美に壮大なスケールで奏でられるヨハン・セバスチャン・バッハの ”マタイ受難曲(St. Matthew Passion) “。ベルギー出身の指揮者ルネ・ヤーコプスとこの作品との関係は深く、幼少期にはゲントの教会での演奏経験があり、後にカウンターテノールのソリストや指揮者として幾度も取り組んでいる。中でも2013年に録音された演奏は、ヤーコプスの作品に対する造詣が織りなすドラマティックな演奏と、包み込むような感性が窺い知れる優れた作品として高く評価されている。バッハの時代から続くグッド・フライデー・ヴェスパー(聖金曜日の礼拝)を模し、教会の前後にそれぞれ聖歌隊を配置してのバランスの取れたパフォーマンスに乗せて、テノールのウェルナー・ギューラ、アルトのベルナルダ・フィンク、バリトンのヨハネス・ヴァイサーが感情豊かに綴られる圧巻のソロ・パフォーマンスを披露している。
- 1960年にローマで生まれたチェンバロ奏者/オルガン奏者/指揮者のRinaldo Alessandriniは、1984年に声楽と器楽からなる古楽アンサンブルConcerto Italianoを結成し、ヴィヴァルディをはじめ、モンテヴェルディ、スカルラッティなど、イタリア古楽の名曲の素晴らしい録音を多く発表してきた。本作はそんな彼らによるバッハの歴史的名作『ブランデンブルク協奏曲』の全曲録音。Alessandriniと仲間たちが生み出すサウンドは非常に立体的で、特に管楽器の鮮やかな響きが空間の広がりを感じさせてくれる。耳慣れた力感的で堅固な「ブランデンブルク」とは全く印象が異なる軽やかさと華やかさにあふれる演奏で、バッハの傑作の知られざる魅力を発掘した快作。
- バッハの楽曲解釈に定評のあるカナダ出身のピアニスト、グレン・グールドによる、バッハの『ゴルトベルグ変奏曲(The Goldberg Variations)』(1741年発表)の見事な演奏を収録。1955年に初めてバッハの変奏曲に挑み、並外れた演奏技術で名声を集めたグールドは、1981年に過去のレコーディングとはまったく違う解釈による演奏を披露し、同じ演者が同じ曲を弾いてもまったく異なる芸術作品になり得ることを証明した。バッハの多声的で複雑に構築された楽曲が存分に楽しめる二つのレコーディング作品には、演奏中にハミングをするグールドの独特のクセも収録されている。
- バッハの音楽は、長い間多くのジャズミュージシャンたちを魅了してきた。中でも、飽くことなき鍵盤楽器の探究者であるキース・ジャレットは、バッハ作品の最も深い境地にたどり着いた一人だろう。「平均律クラヴィーア曲集第1巻」は、バッハが鍵盤楽器の鍛錬のための機能とエンターテインメント性を両立させることを意図したとされる作品。ジャレットの演奏は、バッハに対する敬意にあふれた真摯なもので、同時に深い音色を生かした豊かな表現で、バッハが望んだ通り、リスナーの心に音楽の喜びと安らぎを感じさせてくれる。
- 2025年
アーティストプレイリスト
- バロック音楽の頂点に立つ音楽の父。傑作の数々は、まさに究極の癒やし。
- 私たちが知るバッハの楽曲は、謎に満ちた巨大な氷山のひとかけらに過ぎない。
- 偉大な父のDNAを受け継ぐ、バッハ家の作曲家たち。
- 2025年
- 2025年
ヨハン・セバスティアン・バッハについて
バロックの巨人、ヨハン・セバスティアン・バッハは、人間の精神の深い真理を解き明かす芸術を創造した。完璧に構築された彼の音楽は、人々の脳と心を活性化させ、人生の無常と永遠の救済の約束にまつわる熟考を聴き手に促す。そのことは彼の宗教曲と世俗曲の両方に刻み込まれている“Soli Deo Gloria(神にのみ栄光あれ)”という献辞によっても強調されている。バッハは1685年にドイツ、アイゼナハの音楽家一家に生まれ、少年聖歌隊の一員として、また教会のオルガニストとして、貴重な教育を受けた。そして規格外の作曲家に成長した彼の天才的な発想力と絶対的な対位法の技量は、カンタータやオルガン曲といった礼拝のための作品から、『Brandenburg Concertos(ブランデンブルク協奏曲)』や『Four Orchestral Suites(管弦楽組曲)』といった爽快な演奏会用の楽曲まで、あらゆるジャンルの音楽に生かされた。1723年、それまで長く貴族に仕えていたバッハは、ライプツィヒにある聖トーマス教会の音楽監督に就任する。この天才作曲家はそれからの5年間で約150曲の教会カンタータを完成させ、その中には『Herz und Mund und Tat und Leben(心と口と行いと生活で)』、荘厳な『Magnificat(マニフィカト)』、『St. John(ヨハネ受難曲)と『St. Matthew Passions(マタイ受難曲)』など、宗教音楽の歴史的名曲も含まれている。これだけでも十分に不滅の存在といえるバッハだが、彼はさらに『Mass in B minor(ミサ曲 ロ短調)』『Goldberg Variations(ゴルトベルク変奏曲)』『The Art of Fugue(フーガの技法)』といった比類なき名作を生み出した。地上に輝く天国の姿を伝える偉大な音楽を創造したバッハは、1750年、2人目の妻と、20人の子どものうち成人することができた9人を残し、ライプツィヒで亡くなった。
- 出身地
- Eisenach, Germany
- 生年月日
- 1685年
- ジャンル
- クラシック