仲間同士で豊富なアイデアを持ち寄り、音楽を、バンドを楽しむ。シンプルだが、実はとても難しいことをユニコーンは実践し続けている。メンバーは、ABEDON、奥田民生、川西幸一、EBI、手島いさむの5人。1986年に広島で結成され、1987年にアルバム『BOOM』でメジャーデビュー。メンバー全員がソングライティングを担い、リードボーカルを取ることで、5人それぞれのキャラクターが映える唯一無二のバンド像を確立する。音楽的な背景や志向する音楽性もそれぞれに異なり、バラエティ豊かな楽曲が生まれた。確かな楽曲構成と演奏スキルに加え、ユーモアのセンスも併せ持っているのが彼らの魅力。「大迷惑」（1989年）や「働く男」（1990年）のように世相を反映したユニークな楽曲が大人たちに支持され、エンターテインメント性に富んだライブや軽妙なスタンスが若い世代を魅了した。膨大なアイデアを投入した作品はリリースごとに話題を呼び、テレビや雑誌のメディア露出も多くこなすなど、1980年代終わりから1990年代前半にかけて巻き起こったバンドブームをけん引した。デビュー後6年間の濃密な時を過ごし、「すばらしい日々」という名曲を残して1993年に解散した。それから時はたち、2009年の年明けに突如バンド再始動を発表。アルバム『シャンブル』を携えてツアーを行い、多くのファンを歓喜の渦に巻き込んだ。その後もメンバーそれぞれの音楽活動と並行しながら、コンスタントに楽曲制作とツアーを続け、新たなファンを増やしていく。2009年に川西幸一が50歳になったことを記念し、大規模なライブイベントを開催。これをきっかけにメンバーそれぞれ50歳のタイミングで生誕イベント『50祭』を行うようになる。イベントのためにオリジナルソングも制作され、それをまとめた作品集『半世紀No.5』（2017年）をリリース。こうした作品からも、5人の愛すべきキャラクターが生き生きと伝わってくる。全員で曲を書き、歌い、常に遊び心を忘れず、音楽に対する情熱を燃やし続ける5人。そんなユニコーンのバンド像はあらゆる世代にとって憧れの的であり、彼らの影響を口にするミュージシャンは多い。音楽を、バンドをとことん楽しむ姿を見せるユニコーンは、人生を彩る熱気とユーモアを楽曲に乗せて届け続けている。