最新リリース
- 2024年3月15日
- 1曲
- American Beauty / American Psycho · 2014年
- Save Rock and Roll · 2013年
- Save Rock and Roll · 2013年
- American Beauty / American Psycho · 2014年
- Infinity On High · 2007年
- Believers Never Die · 2013年
- M A N I A · 2017年
- American Beauty / American Psycho · 2015年
- I've Been Waiting (feat. Fall Out Boy) - Single · 2019年
- From Under the Cork Tree · 2005年
必聴アルバム
- 後に2003年のデビュー作『Take This to Your Grave』に収録されることになる楽曲をレコーディングしていた頃のフォール・アウト・ボーイは、友達の家で寝泊まりし、食費のためにスタジオ代を値切るようなギリギリの状態だった。それから20年経った今、ボーカリストのパトリック・スタンプ、ベーシストのピート・ウェンツ、ギタリストのジョー・トローマン、ドラマーのアンディー・ハーレーから成るシカゴ出身の4人組は、ロック界最大級のバンドに名を連ねるまでになった。そして即効性の魅力がある一方で、パンクのスリーコード精神を超え、より複雑かつ壮大なアイデアを取り入れようとした『Take This to Your Grave』を聴けば、彼らがそこまでたどり着いた理由がよく分かる。 オープニングは「Tell That Mick He Just Made My List of Things to Do Today」で幕を開ける。この曲は、トローマンのパワーコードがハーレーの猛烈なドラミングに取って代わられ、そこにウェンツのシュールかつ皮肉っぽい歌詞が乗り、スタンプの泣きのボーカルで届けられるという、バンドの青写真を示す曲だ。フォール・アウト・ボーイの強みは最初から4人のメンバーがバンドとして成功する要素を持ち合わせていたところにあった。つまり、彼らの原点回帰的なパンクの本能が、世界征服の野望とスリリングにぶつかり合った結果、シカゴで愛されるDIYライブハウスFireside Bowlでモッシュピットを巻き起こすにも、野球場のリグレー・フィールドで大合唱を響かせるにもぴったりな楽曲が生まれたのだ。 『Take This to Your Grave』は、境界線上のロックの時代に即した融合であり、世紀末のオルタナティブブームの残骸に旗を立ててみせた作品だ。そこに並ぶ曲の数々は、中西部エモのタイトなリフと、パワーポップの強力なハーモニーと、タトゥーだらけのハードコアなギャングボーカルと、複雑でありながら強力なメタルのドラミングを、彼らの人気を確実にした簡潔で意味深な、そのまま自動返信メールに使える歌詞と組み合わせている。そしてアルバム全体にみなぎるフルボディのサウンドもまた、パンチの効いた「Grenade Jumper」や冷笑的な「Calm Before the Storm」といった曲にさらなる力を与えている。この時点ではまだ、後のアルバムでフォール・アウト・ボーイのパンクにソウルの要素を加えたスタンプの歌声は未完成のままだが、わずかにひずんだサウンドが耳に心地よい「Saturday」のアウトロなどでファルセットを響かせてみせる瞬間がある。 「僕は君のお気に入りのアルバムじゃない/でも最初はピンと来なくてもだんだん好きになる曲なんだ(I know I’m not your favorite record/But the songs you grow to like never stick at first)」と、スタンプはアップテンポな「Dead On Arrival」で歌い上げる。しかしアルバム『Take This to Your Grave』に漂う切迫感は、それぞれの曲を即効でポップパンクの多幸感に浸れるものにしている。そして明るい雰囲気でありながら後悔にさいなまれた「Grand Theft Autumn / Where Is Your Boy」や「Saturday」が、リリースから20年経ってもライブのセットリストに残り続けていることからも、彼らがいかに早い段階で持続性のある音楽を作っていたのかが分かるのだ。
- 2013年
- 2008年
- 2024年
アーティストプレイリスト
- ラウドロック勢の中で異彩を放つ4人組。激しいサウンドと美しいメロディ、熱いライブで魅了する。
- Zaneがフォール・アウト・ボーイに『So Much (For) Stardust』について聞く。
- フォール・アウト・ボーイの世界ツアーで披露されるヒット曲の数々を聴こう。
- 異ジャンルとの共演など、パンクを飛び越えた彼らの音楽的冒険を覗く。
- ポップからハードコアまで、2010年代ポップパンクの王者のルーツ。
参加作品
フォール・アウト・ボーイについて
フォール・アウト・ボーイはポップパンクの様相を一変させたが、そのすべてはサイドプロジェクトから始まった。2001年、もともとシカゴ郊外のハードコアシーンで活動していたベーシストのピート・ウェンツとギタリストのジョー・トローマンが一緒に組んで新しいバンドを始めると、そこに間もなくボーカリストのパトリック・スタンプとドラマーのアンディー・ハーレーが加入。すぐに動き出した彼らは、セルフタイトルのデモを作り、ブッキングできるライブには一つ残らず飛び付いた。こうしたDIY精神はやがて実を結び、その後も彼らのキャリアの指針であり続けた。例えばスタンプとウェンツがインディーレーベルのDecaydance Records(現在の名称はDCD2)を立ち上げたのは、メジャーレーベルとの契約を獲得して2005年の『From Under the Cork Tree』がチャートを急上昇した後のことだ。「Sugar, We’re Goin Down」や、2007年の『Infinity On High』からの「サンクス・フォー・ザ・メモリーズ」といったヒットシングルの数々は、ハイパーなパンクのリフと、ウェンツが書く冗長で機知に富んだ歌詞、それを歌い上げるスタンプの鋭くもソウルフルなボーカルでリスナーを魅了した。そうした音楽性がその後もフォール・アウト・ボーイの作品を貫き続けた一方で、もう一つ彼らの武器となったのが鋭いポップ感覚と雑食性だった。Pharrell Williams、リル・ウェイン、ミーゴス、リル・ピープといったラップ界のスーパースターの面々とコラボレートしたり、ピート・ローズやユマ・サーマン、ブリトニー・スピアーズを歌詞に登場させたり、ロシアの作曲家やスザンヌ・ヴェガ、モトリー・クルーのサウンドをこっそり忍ばせたり、グラムメタルからヒップホップ、ダブステップ、ファンク、ソウル、レゲエ、EDMまでさまざまな要素を取り入れることで、あらゆる音楽の壁を打ち破ってきた。その過程で、彼らはtwenty one pilotsといったジャンルを超えた次世代のヒーローたちに対して道を切り開いただけでなく、パニック!アット・ザ・ディスコをはじめとするDCD2の契約アーティストに、自力でポップパンク革命を起こしていく基盤を与える役割も担っている。
- 出身地
- Wilmette, IL, United States
- 結成
- 2001年
- ジャンル
- オルタナティブ