
- Paul's Boutique (20th Anniversary Remastered Edition)[Bonus B-Boy Bouillabaisse] · 1989年
必聴アルバム
- サンプリングのみでグルーヴィーなサウンドを完成した「Paul's Boutique」の世界を拡充すべく、ラッパーのQティップやビズ・マーキーはもちろん、ユニークなセンスを持つキーボード奏者のマニー・マークや、Suicidal Tendenciesのドラマー、Amery "AWOL" Smithらと共に制作されたアルバム。メンバーはマイルス・デイヴィスのジャズ・ロックアルバム「On the Corner」に影響を受けたと言い、サンプル、生音ともにエディットを繰り返し、精緻かつワイルドなサウンドを生み出した。また、彼らのルーツであるハードコアサウンドを随所に配置。ヒップホップとハードコアが融合した名曲"Sabotage"は、スパイク・ジョーンズが手掛けた1970年代の熱血刑事ドラマ風のユーモアあふれるミュージックビデオも話題を集め、大ヒットを記録した。
- 1989年、ヒップホップにおけるサンプリングは“ワイルド・ウエスト”、西部開拓時代の様相を呈していた。それは度重なる訴訟によって、自由奔放なサンプリングカルチャーが法的な泥沼に陥る前のことだ。そんな1989年当時、ビースティ・ボーイズもまた自身のワイルド・ウエスト期にあった。デビューアルバム『Licensed to Ill』(1986年)のヒットを足がかりにさらなる成功を目指した彼らは、生まれ故郷のニューヨークからロサンゼルスのハリウッド・ヒルズへと移り住んだ。『Paul’s Boutique』は、こうした時代背景と彼らが身を置く環境の変化が重なって生まれた。 古巣のレーベル、Def JamからCapitolに移籍し、前作のプロデューサー、リック・ルービンとも袂(たもと)を分かつという騒動を経て、ビースティ・ボーイズはロサンゼルスのデュオ、ダスト・ブラザーズをプロデュースに起用。本作にはヴィンテージのファンクやソウルから、ビートルズの「The End」の断片まで、有名無名を問わずさまざまなサンプリングが万華鏡のようにちりばめられている。マイク・D、MCA、キング・アドロックはそれらを用いて快楽主義や破壊行動、「ヤギみたいなヒゲを生やした(a beard like a billy goat)」自分たちのプリミティブな喜びや興奮を伝えている。そのサウンドは、彼らがやってきたこととも、過去に他の誰かがやったこととも似ていなかった。しかし、本作は商業的には大失敗に終わった。3年後、彼らは訴訟に発展しかねないサンプリングを楽器の生演奏に置き換える改革を敢行。3作目の『Check Your Head』(1992年)は、メインストリームで大成功を収める。だとしても、『Paul's Boutique』がサンプリング芸術の記念碑であるのは間違いない。極めて独創的でちゃめっ気のある、ヒップホップの頂点を記録したアルバムだ。
- ハードコアパンクの衝動でバンドを結成した3人組が、時代のニューヨークにおける最高の刺激物であったヒップホップと出会い、絶妙なユーモアのフレイバーを振り掛けて完成した1986年リリースのファーストアルバム。ハードロックのカタルシスとヒップホップをコネクトしたパーティーチューン"Fight for Your Right"や、スレイヤーのKerry Kingのギターが炸裂する"No Sleep Till Brooklyn"などを通して、ヒップホップと多ジャンルの融合を可能にした彼らの斬新な音楽性を披露した。ヒップホップのアルバムとして初の全米1位を記録した伝説的作品。
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ビースティ・ボーイズについて
- 出身地
- New York, NY, United States
- 結成
- 1979年
- ジャンル
- ヒップホップ/ラップ