トリー・ケリーの歌声には、信仰心にインスパイアされたモダンポップを高揚感あふれるサウンドへと押し上げる力強さがある。1992年にカリフォルニアで生まれ、音楽一家の中で育った彼女は早くからシンガーを目指し、回り道をしながら夢をかなえた。2010年にオーディション番組『American Idol』に出演して優勝を逃した後、ケリーはソーシャルメディアに狙いを定めて、オリジナル曲の動画を投稿し始める。そこでファンベースを築き上げたことによって、デビューEP『Handmade Songs By Tori Kelly』はiTunesのトップ10ポップアルバム入りを果たす。ほとんどの楽器を自ら演奏して作った魅力的なこのEPで、ケリーは明るく、R&Bの影響を受けたサウンドを確立した。キャピトルレコードとの契約をつかんだケリーは、2015年に初のフルアルバム『Unbreakable Smile』をリリースするに至った。このアルバムでは、収録曲「Should’ve Been Us」のようなアリーナ向きのトップ40ソングを目指してプロダクションを強化させ、特にエド・シーランと共演した強力なフォークポップのラブソング「I Was Made for Loving You」などの曲ではケリーのボーカルが前面に押し出された。そして2作目のアルバム『Hiding Place』ではゴスペルの影響を強めたサウンドで信仰心を表現し、2019年の多面的な魅力を持つ『Inspired by True Events』ではブルージーなロックの「Language」やドリームポップの「Coffee」、さらに胸を熱くさせるソウルナンバーの「Your Words」などが収録され、レパートリーの幅を広げた。