最新リリース
- 2024年10月3日
- 7曲
- THE TORTURED POETS DEPARTMENT: THE ANTHOLOGY · 2024年
- Lover · 2019年
- Lover · 2019年
- Red · 2012年
- 1989 (Deluxe) · 2014年
- 1989 (Deluxe) · 2014年
- 1989 (Taylor's Version) · 2023年
- 1989 (Taylor's Version) · 2023年
- Lover · 2019年
- Lover · 2019年
必聴アルバム
- 本作がリリースされた2014年、テイラー・スウィフトはまだ人生とキャリアの転換期にいた。そして24歳の若さで、今日の私たちが知るような、すべてを征服する巨大な存在として再登場しようとしていたことは忘れられがちだ。彼女は2010年リリースの『Speak Now』と2012年リリースの『Red』で、すでにカントリーとポップの比率を調整し始めており、後者ではスウェーデンのヒットメイカーであるマックス・マーティンとシェルバックをプロデューサーとして招聘(しょうへい)した。そして『1989』では、スウィフトは比率という概念を完全に捨て去った。 シャナイア・トゥエインの『Come On Over』や、ボブ・ディランの『Bringing It All Back Home』のように、『1989』はアーティストが意図的にリスナーの期待を裏切り、それでも成功を収めてみせた一例となった。マックス・マーティン、シェルバック、ライアン・テダー、そして後にスウィフトの親友となるジャック・アントノフといったプロデューサーの手を借りて、シンセサイザーを駆使した1980年代にインスパイアされたサウンドが本作には詰まっているが、それは必ずしもスウィフトが聴いて育ったものではない。アルバムタイトルが想起させるとおり、彼女は1980年代が終わりに差し掛かるまで生まれてさえいなかったのだから。初期のアルバムでカントリーミュージックの伝統や慣習と戯れてみせたのと同じように、スウィフトが『1989』で1980年代のノスタルジアを生かしたのは、過去を振り返るためではなく、前に進んでいくためだったのだ。
- もしも新型コロナウイルスの感染拡大がなかったら、このアルバムは生まれなかったはずだ。ロックダウン中にテイラー・スウィフトが思い立って作り始めた本作はまさに想定外の産物であり、他者と隔絶された内省の日々を想像力によって色鮮やかに昇華した、どこまでも美しいアルバムなのだ。The Nationalのアーロン・デスナーをプロデューサーに迎え、「exile」ではボン・イヴェールとのタッグも実現。彼らとのコラボレーションが本作のミニマルにして端正なフォークサウンドの源となり、『1989』以降のテイラーのポップ路線とは一線を画すクラシカルで普遍的な作品に仕上がっている。また、これまでは等身大の自分を歌ってきた彼女が、ここでは戦争で戦った祖父に思いをはせた「epiphany」、20世紀に実在した大富豪の未亡人をよみがえらせる「the last great american dynasty」など、いくつもの視点を内在させた歌詞を紡いでいるのも新境地だろう。コロナ禍の物理的制約にもかかわらず彼女のクリエイティビィティはむしろ大胆に飛躍し、自分と他人、現実と空想が交錯しながら拡大していくそのストーリーテリングは、いまだかつてない高みに達している。
- カントリーの歌姫から世界的ポップスターへ。
- 世界中の女の子を代弁する、人気シンガーソングライターのつづった物語を映像で。
- 世界最大のライブツアーが終了へ。進化し続けるセットリストをチェック。
- テイラー・スウィフトの歌声にリードされ、楽しくワークアウト。
- テイラーが選ぶ、"取引"の段階を乗り越えるための楽曲。
- 喪失の第4段階が必要とするのは悲しい曲。テイラーが自身の最も悲哀に満ちた歌をセレクト。
ライブアルバム
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テイラー・スウィフトについて
ナッシュビルにあるカントリーミュージックの中心地、ミュージックロウの恩恵を受けた3作のアルバムを経て、テイラー・スウィフトが2012年にリリースしたアルバム『Red』は、新たに取り入れられたポップミュージックの要素もあってか、カントリーシーンを騒がせた。だが、その変化は彼女の音楽キャリアにとってごく自然な流れだったと言える。14歳にしてペンシルバニア州の郊外からナッシュビルへの移住を両親に説得したエピソードからも、テイラーが有り余るほどの野心を持っていたのは当然だったからだ。そのあふれる野心に見合った天賦のメロディの才能と共に、一気にスターダムへと駆け上がっていくテイラーの姿を見守ることは、ある種の興奮さえ感じられた。初期のみずみずしいラブソングから、辛辣(しんらつ)なウィットと冷静な心をまとった2010年の『Speak Now』、そして自らの生まれ年をタイトルに掲げ、マックス・マーティンの派手なプロダクションに負けない鉄壁のポップ作品へと仕上げてみせた5作目の『1989』。その間、彼女はパブリックとプライベートの境界を曖昧(あいまい)にするような作曲を続け、叙情的な品格も保ちながら、実生活を適度にほのめかすような手掛かり(例えば“スカーフ”や“スターバックス”など)を歌詞の中に登場させつつ、その物語を手中に収められるのは自分だけなのだということを表現し続けてきた。2017年の『reputation』では、テイラーと実生活で関わりのある実在の人物をヒーローや悪役としてアルバムの中に登場させ、かつてないほどロマンチックな作品を作り上げた。2019年の『Lover』は前作から続くロマンスをより一層強めた作品だったが、新型コロナウイルスの感染拡大によるパンデミックの最中に作曲、録音された2020年の『folklore』では、一転して内省的なテーマと端正なフォークサウンドを探究し、同年開催されたApple Music Awardsのソングライター・オブ・ザ・イヤーに輝いた。
- 出身地
- West Reading, PA, United States
- 生年月日
- 1989年12月13日
- ジャンル
- ポップ