最新リリース

- 2025年5月30日
- 14曲
- The Definitive Collection · 2002年
- Songs in the Key of Life · 1976年
- Songs in the Key of Life · 1976年
- Talking Book · 1972年
- In Square Circle · 1985年
- In Square Circle · 1985年
- Sing ¡Ven y Canta! (Soundtrack Oficial De Sing: Ven Y Canta Edicion De Lujo) · 2016年
- Talking Book · 1972年
- For Once in My Life · 1968年
- My Cherie Amour · 1969年
必聴アルバム
- 1974年、スティーヴィー・ワンダーは世界で最も批評家から尊敬を集めるポップスターだった。当時、彼は音楽業界から完全に身を引くことさえ考えていたにもかかわらず、いや、そうしたこともあって、その2年後に『Songs In The Key Of Life』がリリースされた際には、彼の音楽を希求する声は非常に高まっていた。そしてもちろん、本作は手放しで受け入れられ、史上最速のヒットアルバムとなった。 ワンダーは自身のことを、自らが創造した広大な宇宙の慈悲深い支配者のように位置付け、膨大な楽曲数をストックしていた。そのため、この大作『Songs In The Key Of Life』は、難なくメロディアスで、その音楽性も幅広く、極めてパーソナルである一方、しばしば奇妙でもある。大げさなロック叙事詩の時代において、ワンダーはこれまでにリリースされた数ある作品の中でも、最も探求的で裾野の広いソウルアルバムを完成させたのだ。 まずは、軽快なフックに満ち、ポジティブな雰囲気を漂わせるトップチャートのシングル曲「Sir Duke」と「I Wish」から始めてみよう。どちらの曲も、何十年にもわたってバーベキューや結婚パーティーのBGMに数え切れないぐらい使われてきたが、その対極には、「Village Ghetto Land」や「Pastime Paradise」の厳然たるリアリズムが横たわっている。そこではワンダーは公民権獲得の夢を諦めることがないよう新聞の論説欄へと舞台を移す。そしてその後、ワンダーの実娘が、父娘のためのスウィートアンセム「Isn’t She Lovely」に登場する。 終盤に近づくと、ワンダーは「As」「Another Star」の連続した2曲で15分間に及ぶゴージャスなゴスペルディスコを披露してダンスフロアを清めていく。しかし、アルバムの決定的な瞬間は、ボーナストラックの一曲にあるかもしれない。ボーナストラックとは、発売時のアナログ盤に付属されていた7インチレコードの最後に収録されている4曲のことだ。ボーナストラックはアフロフューチャリズムのファンタジア「Saturn」の深宇宙から始まるのだが、曲のエンディングでシンセサイザーのコードが余韻を残してフェイドアウトすると同時に、ワンダーは何光年も離れたある都会の運動場にズームインし、ブラックコミュニティの子どもたちが縄跳びする音に焦点を当てていくのだ。音響的にも、文化的にも、そして感情的にも、『Songs In The Key Of Life』が単なるたくさんの楽曲の寄せ集めではなく、一つの統一された世界を形作っていることは、こうしたことからも明らかだろう。
- 「トーキング・ブック」、「Innervisions」と並ぶ、いわゆる3部作の最後を飾る作品。各アルバムはどれも甲乙付けがたい内容だが、交通事故で瀕死の重傷を負い、生死をさまようという大きな体験を経て発表された本作は思いのほか穏やかな印象だ。多様な音楽性が展開されるその代表作が"Boogie On Reggae Woman"と"Bird of Beauty"の2曲。前者はレゲエを後者はブラジル音楽を取り入れている。ジャクソン 5 がコーラスで参加したファンクナンバー"You Haven't Done Nothin'"などのヒット曲に加え、"Smile Please"、"Creepin'"、"It Ain't No Use"といった楽曲の持つリラクゼーションに富んだ空気感にも癒やされる。
- 麻薬に溺れる者や、カリスマ詐欺師、組織的な人種差別や上辺だけのキリスト教信仰を糾弾する『Innervisions』は、スティーヴィー・ワンダーのキャリア史上で最も政治的主張の強いアルバムだ。それでいて、我を忘れるほどファンキーに仕上がっている。彼はほぼ全曲において演奏とプロデュースを担当し、かつてないほど批判の矛先をとがらせつつも、音楽的にはこれまでになく高い地点に到達した。 「Living For the City」はブラックパワー運動の収束後、労働者階級のブラックコミュニティが送る厳しい都会暮らしの様子を熱っぽく歌い上げた7分間のソウルオペレッタだ。じわじわと怒りを募らせながらアルバムの最後を飾る「He’s Misstra Know-It-All」は、同じように虐げられた人々を食い物にする類いの人間を鮮やかに浮かび上がらせ、それは後に辞任するニクソンのことではないかとの憶測も飛んだ。そして「Higher Ground」ではおなじみクラビネットの音色とムーグのベース音をバックに、魂の再生という彼の信念が救済という形で表われている。1960年代後半のヒッピー的な楽観主義に別れを告げると共に、いくつものスピリチュアルな未来の可能性に道を開いたこのアルバム『Innervisions』で、スティーヴィー・ワンダーは1970年代のアメリカ大衆音楽で最も影響力のある唯一無二の存在という地位を確立した。
- 弱冠22歳にして15作目、一人の天才少年からシリアスなアーティストへと脱皮した最初の到達点として名高い傑作。なんといってもBeck, Bogert & Appiceへの提供曲「迷信」と「サンシャイン・オブ・マイ・ライフ」の全米チャート1位に輝いた2曲が知られているが、浮き立つような「チューズデイ・ハートブレイク」などその他も佳曲ぞろい。ジェフ・ベック、デヴィッド・サンボーンやレイ・パーカー・ジュニアらの豪華なゲストミュージシャンのみならず、スティービー・ワンダー本人の手による多彩なキーボードワークに耳を凝らしてみれば、「サンシャイン・オブ・マイ・ライフ」や「アナザー・ピュア・ラヴ」での揺れるローズピアノ、感動的なバラード「ユー・アンド・アイ」のピアノとシンセサイザーの組み合わせ、「メイビー・ユア・ベイビー」のモーグ・シンセサイザーによるベースラインなど、1972年のリリース時におけるシンセサイザーの革新性の一端を本作からのぞくこともできるだろう。この後も続くプログラマーのMalcolm Cecil、エンジニアのRobert Margouleffとの共同プロデュースで、自身のキャリアの絶頂期の始まりを告げる重要作品。
- 1987年
- 2022年
アーティストプレイリスト
- ポピュラーシーンをけん引し続ける世界的シンガーソングライターの巨匠。
- 天使のような唯一無二のボーカルが歌い上げる、ソウルフルな愛の世界。
- ジャンルを超え、世界中のアーティストに影響を与え続けるソウルフルヴォイス。その感性はまさにアート。
- 多数の名曲を創出したアーティストは、サンプリングソースのアイコンとも言える。
- ソウルミュージックの新たな表現を切り開いてきた多彩なアプローチ。
- 天才ソウルアーティストの根幹を成すルーツ音楽のバックグラウンドを掘り下げる。
シングル&EP
- 2019年
- 2007年
参加作品
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スティーヴィー・ワンダーについて
情熱的なシンガーであり、驚異的なマルチミュージシャンでもある、先見の明を持つプロデューサーのスティーヴィー・ワンダー。彼は、ポップミュージックの歴史において絶大な影響力を持つ存在だ。目の見えない状態でその地位を獲得したことは驚くべき点だが、それは彼を語る上ではほんの序の口にすぎない。1950年、ミシガン州サギノーにスティーヴランド・ハーダウェイ・ジャドキンズとして生まれた彼は、1960年代初期に若きスターとして登場し、リトル・スティーヴィー・ワンダーという名前でレイ・チャールズのスタンダード曲をカバーしていた。そして1960年代末にはカバーを卒業し、「For Once in My Life」などのモータウンを代表するような洗練されたソウルナンバーの数々を演奏するようになる。こうした流れは、後にジャスティン・ティンバーレイクやジャスティン・ビーバーといった未来のティーンアイドルたちにも、ポップの新星が成し遂げた華麗な転身を示した。1970年代初頭、“ブラックパワー”の政治観がカルチャーに浸透するにつれ、スティーヴィーはその運動の正当な憤りと、より公正な社会に向けた希望の両方を象徴する存在となった。そして1972年の『Talking Book』から1976年の『Songs In The Key Of Life』まで、今でも語り継がれる名作を次々とリリース。その活躍は、それまで確かな実力を備えていながら不当にシングルのリリースのみに追いやられていた多くの黒人のソウル/R&Bポップアーティストたちに、アルバムリリースへの道筋をもたらした。スティーヴィーはこれらアルバムの中で、声を上げることと、肩の力を抜くことは相反する観念ではないと示し、「Higher Ground」のような生々しい曲の数々に高揚感を注入してサイケデリックファンクという独自のスタイルを作り上げた。そして作品の大半を自ら作曲、パフォーマンス、プロデュースすることで、プリンスのようなファンクの先駆者となり、また、カニエ・ウェストのようなラップアイコンに敬愛されるマルチなアーティストの手本となった。こうした多産な実験期においてもスティーヴィーは作品を発表し続け、「You Are the Sunshine of My Life」や「Isn’t She Lovely」といった結婚式でのスローダンスの定番曲を生み出した。1980年代に突入すると、今度は時代の波にも乗って、シンセサイザーを織り込んだソウル曲「Part-Time Lover」や、切ないアダルトコンテンポラリー・セレナーデ「I Just Called to Say I Love You」を発表。1990年代以降はリリースのペースも落ち着いたが、依然としてポップシーンに欠かせないアーティストであり続けている。2009年のバラク・オバマ大統領の就任式で披露した歌声にしろ、2015年のマーク・ロンソンのヒットアルバム『Uptown Special』で聴かせたハーモニカにしろ、スティーヴィー・ワンダーの存在は祝福のような気高さと厳粛さを感じさせる。
- 出身地
- Saginaw, MI, United States
- 生年月日
- 1950年5月13日
- ジャンル
- R&B/ソウル