1997年にサードアルバム『Come On Over』をリリースした時、カナダを代表するシンガーソングライターのシャナイア・トゥエインは、すでにスターダムを駆け上がっていた。その2年前に発表されたアルバム『The Woman In Me』からは「Whose Bed Have Your Boots Been Under?」と「Any Man of Mine」というヒット曲が生まれ、素晴らしいセールスを記録。彼女が世代を代表する次の偉大なスーパースターになるための舞台が整った。
アルバム『Come On Over』はまさにそれを実現し、トゥエインはカントリーシーンを代表するアーティストとしてだけでなく、クロスオーバーで最も成功したアーティストの一人としても認められた。ファーストシングル「Love Gets Me Every Time」をはじめ、『Come On Over』からは、前代未聞の12曲のシングルがリリースされ、そのうちの3曲がビルボードのHot Country Songsチャートで首位を獲得した。アルバムはアメリカでダブルダイヤモンドに認定され、世界中で何百万もの数の売り上げを記録。ギネス世界記録によると、女性ソロアーティストとして世界最高のセールスを達成した作品となった。
もちろん、こういった統計は見事なものであり、その後もたくさんの記録が樹立されたのだが、『Come On Over』がリリースから25年たっても影響を与え続けている一番の理由は、そのカントリーとポップの画期的な融合にある。オープニングトラックの「Man! I Feel Like a Woman!」は、単なるシングルの枠を超えて世界的に愛されるアンセムとなり、力強い女性のエネルギーを求める多くの人に受け入れられてきた。グラミー賞で2冠に輝いた「You’re Still the One」は、アルバムのプロデューサーでトゥエインの元夫でもあるMutt Langeが運命の相手(The One)ではなくなった今でも、現代のラブソングの定番であることに変わりはない。また、強気な「That Don’t Impress Me Much」ではあのブラッド・ピットに「別に大したことない」と言い放って話題を呼んだ。
しかし、これらの楽曲は『Come On Over』が名作になった理由のほんの一部に過ぎない。トゥエインの歌声はこの上なく素晴らしく、アルバムのダイナミックな流れによって、パワフルな発声から震えるような繊細な声まで、彼女の音域の機微を十分に披露することができた。Langeのプロダクションはポップ、ロック、さらにはダンスミュージックまでも大胆に取り入れ、カントリーを主軸に保ちつつ、トゥエインの多彩な音楽的ビジョンを受け入れるスペースも提供した。
『Come On Over』が彼女の伝説的なキャリアにおける一つのランドマークとなった一方で、テイラー・スウィフト、キャリー・アンダーウッド、ブリトニー・スペンサー、マレン・モリス、Caitlin Roseを含むあらゆるタイプのアーティストが、影響を受けた存在としてこのアルバムとトゥエイン自身を挙げている。そのレガシーを祝して、Apple Musicでは3曲のデュエットを限定配信。エルトン・ジョンとクリス・マーティンはそれぞれ「You’re Still the One」のライブバージョンに参加し、ニック・ジョナスは「Party for Two」で共演している。