スターバックスの初期の投資家であることや、特徴的なカーリーヘアでも知られるケニー・G（本名：Kenneth Bruce Gorelick）。彼のキャリアは、そのアダルトコンテンポラリーなジャズポップのサウンドに匹敵するほどスムーズに進んできた。1956年にシアトルで生まれたこのサックス奏者は、1982年にセルフタイトルのデビュー作『Kenny G』をリリースして以来、通算7,500万以上の数のアルバムセールスを記録している。10代の頃にバリー・ホワイトのThe Love Unlimited Orchestraの一員としてプロのキャリアを歩み始めたケニーは、ジェフ・ローバー・フュージョンに加入し、ジャズポップへの軽快なアプローチを披露するようになった。プラチナ認定された1980年代のソロアルバム『G Force』と『Gravity』での成功と、アレサ・フランクリンやディオンヌ・ワーウィック、パティ・ラベルのようなR&B界の大物たちの楽曲を輝かせた、その愛撫（あいぶ）するようなメロディの解釈は、彼のキャリアにおいて単なる始まりに過ぎなかった。彼が奏でる甘美なソプラノサウンドは、1990年代には音楽シーンにおいて避けては通れないほど存在感を増していく。特に1993年リリースのジャズとR&Bのクロスオーバー作品『Breathless』は、1,200万以上の数を売り上げ、インストゥルメンタルアルバムとして史上最大のベストセラーとなった。グレイト・アメリカン・ソングブックの快活な通訳者として（『Classics in the Key of G』）、ホリデーの定番として（『Miracles』『Faith』）、さらにはクラブに至るまで（1996年の「Havana」がハウスリミックスされた）、ケニーはあらゆるシーンで魅力を放ってきた。21世紀に突入するとケニーの関心はさらに広がり、2008年の『ロマンスの足おと』ではボサノヴァをたしなみ、2015年の『Namaste』ではインドの伝統楽器であるサントゥールの奏者ラフール・シャルマと共演、さらには、カニエ・ウェストの「Use This Gospel」とザ・ウィークエンドの「In Your Eyes」に、意外かつチャーミングなコラボレーターとして登場した。