なとり

なとりの歌声には、心のバリアをふっと解くような親しみ深い響きがある。2021年5月から活動を始めた彼は、SNSに投稿した「Overdose」（2022年）のショート動画が大きな反響を呼び、フル音源を発表すると日本のみならずアジア各国でチャート上位にランクインした。気負いのないナチュラルな声で愁いを帯びたキャッチーなメロディを紡ぐなとりの歌は、まるで気の置けない友達とのおしゃべりのように、するりと心に入り込み、深い共感を生む。ボーカロイド音楽やヒップホップ、シティポップなど多様なエッセンスを織り交ぜた緻密なトラックメイクや、少し意味深な言葉を使いながら心地よい響きを生むリリックのセンスも高く、どこにも行き着かない宙ぶらりんな心を洗練されたサウンドで描いている。映像やアートワークにおいても、楽曲の世界観とマッチしたアニメーションやイラストを用いて独特の世界観を発信。自身の顔やプロフィールの詳細は明かさずに活動しながらも、強い存在感を放っている。