Wicked: The Soundtrack

Wicked: The Soundtrack

ミュージカル映画『Wicked(邦題:ウィキッド ふたりの魔女)』の中からお気に入りの曲をApple Musicに尋ねられた主演の2人、アリアナ・グランデとシンシア・エリヴォは、決められなかった。あるいは、決めるつもりがなかったのかもしれない。最終的に、エリヴォは折れて、自身が演じたエルファバを代表する曲として「I’m Not That Girl」を挙げ、グランデは自身が演じたグリンダの「No One Mourns the Wicked」を提案した。そして2人は共同で「Dancing Through Life」を選ぶことに同意した。 もちろん、彼女たちに選択する義務などないし、長年のファンであろうと新参者であろうと、それはミュージカルを愛する人々にとっても同じだ。『ウィキッド』ファンへの朗報は、映画のサウンドトラックが原作の音楽にあまり手を加えていないことだろう。そして、もしこのような大作において、パフォーマンスが特にダイナミックに感じられるとしたら、それは大半が撮影現場での録音から取られたものだからだ。グランデいわく、それは彼女とエリヴォのこだわりだったのだとか。 「おかしなことに、家に帰ってからアルバムを制作したら、自分の声帯がこれまでとは違った歌い方をしているように感じた」と彼女は語る。「もちろん、私たちはいつでも好きなときに帽子を取って、別の帽子に変えられるわけだけど、声を出すとなると身体がある種のクセを作り出すみたい」。その結果、このような知名度の高い作品としては珍しいほどダイナミックに感じられ、スタジオで加えられる変更も少ないサウンドトラックが誕生した。 グレゴリー・マグワイアの小説『ウィキッド 誰も知らない、もう一つのオズの物語』を原作とした作品は、巧妙かつ現代的であり、悪役だと思われた人物を共感の対象へと変えていく負け犬の物語だ。私たちが自分自身を想像するのと同じように、肌の色が異なるエルファバの中に愛に値する人物を見いだせる、他者性についての寓話なのだ。ここに並ぶのは、「Popular」のように機知に富んでいて、「Defying Gravity」のようにドラマチックで、「I’m Not That Girl」のように徹底的にほろ苦い、21世紀初頭のブロードウェイで最も愛されてきた楽曲の数々であり、とても丁寧に披露されている。

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