相方の Tom Middleton と共に、アンビエント・ミュージックの歴史的名盤と言われる「76:14」を生み出した Global Communication ほか、様々なアプローチのエレクトロニック・ミュージックを生み出してきた Mark Pritchard 。ロンドンからシドニーに移り住んだ彼が Harmonic 33 のオルタナティヴ・プロジェクトとして新たに立ち上げたのが Harmonic 313 。その名に掲げられたエリア・コード “313” には近未来的なテクノや J.Dilla に象徴される革新的なヒップホップを生み出したデトロイトの音楽への敬意が表されている。しかし、強烈な低音の利いたシングル “Dirtbox” ほか、本作にはドラムンベースやグライム、ダブステップから抽出したUKベース・ミュージック、さらには80年代エレクトロの要素が加えられており、そんな彼らしいミクスチャーが新しい耳触りのトラックに繋がっている。同 WARP レーベルに所属する新世代トラック・メイカー、 Flying Lotus や Hudson Mohawk らからもリスペクトを集めるベテラン、Mark Pritchard の溢れるクリエイティヴィティが2008年に産み落とした第一級のアルバムだ。マシーンと人間の知性が繰り広げるバトルはここにマシーン・ソウルを生み出した。