Trapo

Trapo

メキシコの麻薬密売組織のボス、“エル・チャポ”ことホアキン・グスマンが、2001年に最も厳重な警備を誇る刑務所から脱走した話はよく知られている。その20年後、グスマンに感化されたTrapoというあだ名のラッパーが、2020年のデビューアルバム『Street Side Effects』に続いて、彼自身の自由を追求していた。「俺は楽曲も歌詞もビートも、いろいろと考えすぎてた。悪い状態だったんだ」と、K-TrapはApple Musicに語る。「それでちょっと時間を置いてみた。今の俺は、また自分がやりたいことをやっていて、それが上手くいってる」。アルバム『Trapo』で、南ロンドン出身のMCであるK-Trapは、彼のミックステープというルーツ(当時彼は覆面を被っていたが、2019年に彼はその覆面を脱ぎ捨てた)に立ち返っている。今回、M1onthebeat、Ghostyといったドリルサウンドの頂点に立つプロデューサーたちの熱い楽曲を使って、新進気鋭のMCたちをアルバムで起用しバックアップした。その多くは、UKドリルサウンドの発祥の地といわれる南ロンドン自治区のランベスを出身地とするMCたちだ。「長い間、こんな感じじゃなかった」。新人MCたちの活躍ぶりについて、彼はこう言う。「ここでは、そんなことは作り話にしか思えなかった。でも、Krept & Konanとか67のように、俺たちの地元に近い人たちの活躍を見かけるようになると、たちまちこの場所で育つ多くの才能にも刺激を与えたんだ。だから、俺も同じく彼らのために、やれることをやってる」。ここでは、K-Trap本人が彼の4作目となるミックステープの各曲を紹介し、才能を持つ参加ゲストたちについて語ってくれる。Warmイントロで喋っているのは、Yung Filly(英国のタレント/コメディアン)。この曲をドロップした時に、彼がボイスメモを送ってくれた。これは彼の曲だから、彼の声を入れるべきだと思った。Pick ’n’ Mix俺のお気に入りの曲の一つで、多分、普段の自分とはちょっと違ってる。ドリルサウンドで、そんなに暗くないんだけど、言葉遊びがメインの曲。MathsDoRoadは俺のブラザーだ。彼もジプシーヒル出身だよ。音楽活動を止めてる時もあったけど、今の彼はやる気だ。絶対に成功するよ、唯一無二の存在だから。「本気でロードをやるなら俺に言え、本気でトラップをやるなら俺に言え(Tell me if you really do road, tell me if you really do trap)」っていうフックの部分は、何年も前から頭にあって、この曲の誕生を待ってたんだ。Tape Nightこの曲は、完全に没頭して作った気がする。時にはあまり考え過ぎない方が、上手くいくことがある。ここでの俺は、ただ言葉を合わせてるだけなんだ。Yingこれもコラボレーション曲で、以前から俺のファンに頼まれてたんだ。PR SADには目をつけておくといい、彼はクールだと思うし、あっという間に話題になるよ。Elon MuskこのビートはTwitterで俺に連絡してきた若手プロデューサーによるもので、彼にチャンスを与えたんだ。クールな曲だよ、これに合わせてラップを書く気になったから。それに、ロックダウン中にイーロン・マスクはいつも話題になってたから、彼のことが頭に残ってたんだろうね。Billie Jeanこの曲でLotto Ashと仕事ができて、楽しかった。時々、音楽業界のゲームは奇妙で、ラッパーたちはそれ以上に奇妙だって思うんだけど、彼のことは高く評価してる。彼に会ったのは今回が初めてで、とにかく最高だった。俺たちはアイデアをやり取りして、直ぐにM1onthebeatが手掛けたハードな曲に取りかかったんだ。Love Itこの曲をGhosty(英国のプロデューサー)とレコーディングした夜には、最終的にはアルバムに入らなかったけど、あともう2曲完成させてたんだ。夜遅くまでかかって、その時にはGhostyはスタジオを去ってた。それで、レコーディングセッションの最後に、俺がビートを流して、レコーディングしたのがこれ。Addictionこの曲で、俺たちはクリエイティブな作業が必要だった。ビートの中のボーカルはサンプルのように聴こえるかもしれないけど、マジで、そうじゃないんだ。ボーカルを入れるためにシンガーを雇って、俺のマネージャーたちとエンジニアたちとチームの全員がアイデアを出し合って、この曲を完成させた。それはまさに俺たちのやり方なんだ。Free C Royまず、C Royって熱心な人なんだ。俺が最初にラップを始めた時、彼はマネージャーだった。俺と同じように、彼もまた自分の仕事についてあまりよくわかっていない状態だった。でも、彼はいつもそこにいてくれた。俺を応援してくれて、俺の初期のすべてのミュージックビデオに出てる。この曲をレコーディングした日に彼と話して、タイトルを教えたら、嘘だと思ったみたい。もうじき彼のことも知ることになる。Intentionsこれもお気に入りの曲の一つ。何と言うか、このビートがどこか違う場所に連れてってくれる感じなんだ。人って時々、物の一面だけを聞きたがるけど、もっと意識してる面を提供すべきなんだよ。それは必要なことなんだ。She Wanna最後に作った曲の一つ。その時点で、どうしても女性たちのための曲が必要だって気づいてたんだけど、愛らしい曲を作るつもりはなくて、最終的にこのコンセプトに仕上げた。これに完全に共感できる女性たちがいるはずだよ。RRRこの曲はクールだ。DoRoadとYoungs Tefの入り方がすごく気に入ってる。俺たち全員が、独自のユニークなスタイルで、素晴らしいパフォーマンスを披露してる。Trendingファッションに関しては、今の俺が何が好きかだけは教えるよ。昔は、もう着てないブランドの名前を挙げてた。でもそういうもんだろ、過去は消せないし、それもやり方の一つだ。Helpこの曲は、アーティストとしての自分を要約してる。俺は嫌な奴のこととかも語るけど、それに伴うことも語るようにしてる。「助けてくれ」っていう誰かの声を聞いたら、立ち止まって人生について考えさせられるもの。この曲は、他の多くの人たちのストーリーで、一行の歌詞から始まって、どんどん膨らんでいったんだ。Fightingミックステープを締めくくるこの曲は、俺の胸の内をもう少しだけ明かしている。正直言って、俺は闘ってるんだ。でも、俺は人生の鍵となる大切な事実を理解してる。それは、人生は続くってこと。何があってもね。人生ゲームは、同情に根差してるものじゃないんだ。

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