フランスのチェロ奏者Edgar Moreauは、本作でユダヤ人のアイデンティティと関連する作品を取り上げ、自身が受け継ぐユダヤ人の伝統をたたえている。1曲目のエルネスト・ブロッホの人気作『From Jewish Life』は、優しく、魂のこもった演奏で作品の本質を完璧にとらえ、申し分ない幕開けとなった。アルバムの中心となるのは、1946年の映画『Deception（愛憎の曲）』のために書かれた、エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルトによる『チェロ協奏曲ハ長調』。Moreauとルツェルン交響楽団による白熱した演奏を楽しむことができる。さらにマックス・ブルッフの名作「Kol Nidrei」、ブロッホの『Schelomo』へと実に美しい音楽が続き、最後はモーリス・ラヴェル（ユダヤ人ではない）の『Mélodies hébraïques』によって華やかに幕が閉じられる。