

たちまち夏の記憶へと連れ出されてゆく。2021年2月にSuchmosが活動休止に入り、ギタープレイヤーの活動と並行して同年8月にソロプロジェクトをスタートさせたTAIKINGによる、初のフルアルバム。彼自身がギターのみならずボーカル、ベース、ドラム、キーボードなど、ほぼすべての演奏を行っており、彼が元来持つポジティブなムードを、音と歌詞の二方向から感じることができる。江の島の風景をスタイリッシュかつ甘酸っぱく表現したシティポップナンバー「Easy」など、アルバム前半には風通しのいい楽曲が多く並ぶ。「Rules (feat. 土屋太鳳)」では、スイートなTAIKINGとソフトでミステリアスな土屋のボーカルによるハーモニーが、ロマンチックかつクールなムードを作り出している。アルバム後半ではユニークなフレーズのリフレインが小気味よい「Brother」、ニューミュージック的メロディと粘りのあるグルーヴでドライブする「Summer Again」など、夜の街へと連れ出すような楽曲をそろえ、ラストの「Space Traveler」を迎えた頃にはまだ見ぬ世界への期待感に包まれる。夏の終わりのセンチメンタルな心境に、新しい景色を宿してくれる作品だ。