The Romantic

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ブルーノ・マーズがサードアルバム『24K Magic』をリリースしたのは2016年。それは2012年に「Locked Out of Heaven」をヒットさせた彼が、世界を席巻するポップから、子どもの頃に夢中になったR&Bのグルーヴ、つまり思わず踊り出したくなるような楽曲へとかじを切った時期だった。その年に誰もが耳にした『24K Magic』は、グラミー賞7冠に輝く大ヒット作になったが、マーズはそれ以来怠けていたわけではない。その後もラスベガスでレジデンシー(常設)公演を行い、アンダーソン・パークとスーパーデュオを結成し、2021年に『An Evening with Silk Sonic』を発表。そして2024年のレディー・ガガとのデュエット「Die With A Smile」から、ROSÉと共演してApple Musicで2025年に最も再生された楽曲「APT.」まで、さらなるメガヒットを積み上げていた。 その『24K Magic』から10年近くを経て、ポップ界随一のショーマンが世界に放つアルバムは、ダンスとロマンスという二つの永遠の喜びにささげられている。おなじみの共作者や、Brody Brown、フィリップ・ローレンス、ジェイムズ・フォンテレロイ、D'Mileといったプロデューサー陣の協力を得て、チャチャやボサノヴァ、ファンク、ニュージャックスウィングといった往年の魅惑的なサウンドをぜいたくに織り交ぜながら、情熱を爆発させて夜通し踊り明かせる楽曲を次々と繰り出していく。「Cha Cha Cha」では「Got my lemon pepper steppers on/Ooh, girl, you in trouble tonight(レモンペッパー色の靴を履いて/Ooh girl 今夜はただじゃ済まないよ)」と甘い声で歌い、ディスコブレイクやJUVENILEの2003年のヒット曲「Slow Motion」の引用を巧みに滑り込ませる。グルーヴィな「On My Soul」ではカーティス・メイフィールドをほうふつとさせる一方で、ダンスフロアでの戯れをテーマにした手拍子たっぷりのナンバー「I Just Might」ではレオ・セイヤーの「You Make Me Feel Like Dancing」を思わせる軽やかな歌声を響かせる。「It would break my heart, break my heart, break my heart/If I find out you can’t move(きっとガッカリする ガッカリする ガッカリする/君が踊れないって分かったら)」。まさに恋人たちもステップを踏む人たちも結婚式のDJも、そろって大喜びするアルバムだ。