The Early Years 79-81

The Early Years 79-81

あの頃は「何とか自分たちらしさを出そうと、もがいてるバンドの音だったと言える」。伝説のブリティッシュ・ハードロックバンド、デフ・レパードのフロントマン、ジョー・エリオットは結成初期の3年間についてApple Musicにそう語る。「まるである特定の音楽ファンが、その影響を丸出しにしているようなサウンドだったんだ。シン・リジィ、ラッシュ、UFO、デヴィッド・ボウイ、T. Rex、スレイド、クイーン、ジューダス・プリースト、Black Sabbath、Led Zeppelin、ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、ザ・キンクス、ザ・フーとか、そんなバンドを1つのバケツに入れてかき混ぜたような。ものすごい熱意とかなり無邪気な面が音に出ているね。とてもポジティブな意味だけど」。バンドの原点となった3曲入りデビューEP(メンバーが全員まだ10代だった1978年11月に録音)に加え、初期の2作品1980年の『On Through the Night』とマット・ランジのプロデュースでブレイクした1981年の『High 'N' Dry』、そして数多くのB面曲、アウトテイク、レア曲、さらに彼らの歴史的な出世の始まりをとらえた決定的な記録とされる1980年のライブ完全録音がまとめて本作にパッケージされている。エリオットがバンドの初期の3年を、64曲におよぶ収録曲の中の一部とともに振り返る。Ride Into the SunあのEPを録音しにスタジオ入りした時点で確か10曲くらい書いてあったから、その中から違うタイプの曲を選んだんだ。「Ride Into the Sun」は、サヴ(ベーシストのリック・サヴェージ)と書いた曲で、2人の初めての共作だった。奴が考えたギターリフがあって、俺が歌詞を書き始めた。お互いずっと顔を見合わせたまま「さてと、これは結構楽にできたな」なんて言って。40分くらいですぐにまとまったからね。俺が18歳、奴は多分17歳だった。出会ったばかりの男と一緒に曲を書き始める、それが「すごく楽しいし何だか簡単だな。ずっとこんなノリでいくのかな?」て感じだった。When the Walls Came Tumbling Downこの曲には、俺たちの実直さと影響を受けた音楽がわかりやすく表れているね。あれは確かUFOの「Mother Mary」という曲からのリフを拝借している。原曲と同じ拍子とコード進行だよ。歌詞は、俺の友人が書いてくれた。とにかくすごく黙示的だなと思ったよ。壁が崩れ落ちたとき(when the walls came tumbling down)はこの世の終わりみたいな音がするものだろ。『On Through the Night』を作っていたときはティトゥンハーストパーク(Tittenhurst Park)のStartling Studiosにいたんだ。1971年にジョン・レノンが所有していたところだよ。「イマジン」に出て来る例の白いピアノと白いスーツの家。俺はジョン・レノンのベッドルームに3週間寝泊まりしたんだ。Bringin’ On the Heartbreakパワーバラードを考案したのは俺たちだ、とまでは思わないけど、その責任があるのは確かだな。この曲は「Rain Song」か、もしくはバラードとまでは呼べないZeppelinのスローな曲みたいにするはずだった。バラードと呼ばれるようになったのは、みんながそういう曲に壮大なヴォーカルのハーモニーを投入するようになったからじゃないかな。これはムードを変えるためのスローな曲だったんだ。「Bringin' On the Heartbreak」はシェフィールド郊外のドロンフィールドにある製紙工場で書いたんだ。同情してくれたからか、彼らはそこにある部屋をリハーサル用に使わせてくれた。真冬だったから業務用のヒーターも使ったよ。もともとのタイトルは、「A Certain Heartache」だったけど、マットが少し変えたんだ。歌詞は全部書き直したけど、コーラス以外のメロディはそのまま変えていない。When the Rain Fallsもともと「When the Rain Falls」としてあった曲は、「Let It Go」(『High 'N' Dry』のオープニング)という曲に変わった。マットの全体的な狙いとしては、俺をフロントマンみたいな存在にすることだった。当時はデヴィッド・リー・ロスなんかが目立っていた時代だからね。マットにはこう言われたよ。「あのさ、お前の歌詞はいいんだけど、"窓際に腰かけて下の通りを眺めながら哀愁にふけるみたいなセンチな気分"っぽいんだよ。もっとガツンと行けよ」。そんなわけで「When the Rain Falls」が「Let It Go」になったんだ。そっちの方がずっとマッチョな感じがするからってことで。Good Morning Freedom『On Through the Night』セッションのB面曲を聴くと、3分以内に収まるよう短くまとめたのが分かる。ライブでこの曲の演奏を重ねていくうちに、俺たちは真ん中の部分をもっと拡張して組み立てるようになった。そうしたらこのバンドの十八番ともいうべき楽しい曲になったんだ。これは100%当時の俺たちの音だね。しかも全部の曲の中でも俺のお気に入りだよ。何も考えずにロックできるし、そういうのはいつやっても楽しいからね。でもその真ん中あたりにくると、すごくタイトなリズムセクションを聴くことができる。当時、まだ16、17だったというのに。これは俺にとっては当時の縮図だね。3分間の3コード曲を拡張して楽しくはしゃぎ回るものにしたのは、俺たちにその能力があったからだろう。しかもガキの時分に。俺の好きな曲だから、このアルバムを俺が聴くなら、真っ先にこの曲に行くだろうな。

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