本アルバムでは、目の前に現れたいくつもの事象が、連鎖しながら止めどなく続いていくかのような、スリルと興奮に満ちた音世界が展開される。まさに一音たりとも聴き逃せない音楽だ。アメリカのミニマリスト、スティーヴ・ライヒによる『Runner』と、自ら”『Runner』 Il”と呼ぶ『Music for Ensemble and Orchestra』はいずれも、5つの楽章から成るABCBAという同じ回文構造を持ち、リズムの輪郭は16分音符、8分音符、4分音符の独創的なサイクルで形作られている。またどちらの曲においても、魅力的なオスティナートを奏でながら、2台のピアノの輝くようなサウンドがリスナーを心地よく刺激する。一方で、Susanna Mälkkiによるオーケストラに活力を与える、ダイナミックな指揮に導かれたロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団のパフォーマンスは、単にリスナーを引き付けるだけでなく、室内楽用に書かれた『Runner』の精妙さと『Music for Ensemble and Orchestra』が持つオーケストラの深い響きの違いを明確に描き分けている。
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