STEP BY STEP

STEP BY STEP

音楽的な充実度が高まっていく段階にあった1994年にリリースされた通算9作目のアルバム。コンサート活動を休止した期間に制作したことが関係しているのか、歌声もアレンジもソフトな仕上がりで、聴き心地がいい。演奏の基本線は後期ビートルズを連想させるような生のバンドサウンドで、全14曲の中にはビートルズの「Everybody's Got Something to Hide Except Me and My Monkey」(『The Beatles (The White Album)』収録)のカバーもある。シングルヒットした「気分爽快」はフォークロック、「台風」は8ビートのロックンロールなど、オールディーズ的なアレンジが目立つが、どの曲も過度に熱くなる局面はなく、バラード曲も含め、楽曲のポップな魅力や歌の味わいが生かされている。今作でも全曲のドラムに加えてピアノ、ギターなど、森高自身による演奏もポジティブな効果をもたらし、サウンド面の評価も着実に高めた。初期はアイドル的なルックスと歌詞の面白さが注目された彼女だが、この時期はスタッフと共に取り組んできた音楽面の積み重ねが実を結んでいった段階。それは最後に収録された「STEP BY STEP ~彼の人生~」の世界とナチュラルにつながっている。