スタッフメモ マンディ・ムーアの心は穏やかである。「長い間、自分の過去にとても気まずい思いがあっの」と彼女はApple Musicに語る。「14歳でレコード会社と契約して、ファーストアルバムが出たのが15歳の時。クリエイティブの主導権もなかったし、自分が作っている音楽に発言権もなかったの。でも今の私は35歳の女。そろそろみんなに違う色の私を見せてもいい頃のような気がするの」。ポップスターから女優に転向した彼女は、11年ぶりのアルバム「Silver Landings」でまさにそれを実行している。長年のコラボ相手Mike Violaと夫(LAのルーツ・ロックバンドDAWES)のTaylor Goldsmithとタッグを組み、ジェイムス・テイラーやジャクソン・ブラウンといったローレル・キャニオン(かつて1960年代後半から70年代前半にかけての音楽の中心地)のレジェンドの影響を受けた深く内省的な一連の曲を作り上げた。「典型的な南カリフォルニアのポップみたいな感じにしたかったの」と彼女は語る。「美しく澄んだ青空の陽光の下、車のウィンドウを下げて、渋滞もなく、キャニオンやPCH(パシフィック・コースト・ハイウェイ)を走り抜ける。大好きなアルバムを大音量で鳴らしながら、未来に対してポジティブな気持ちでね」。そう語った最後の部分が大事なポイントだ。数年間かけて書かれた楽曲群に、終盤ではナッシュヴィルでグラミー受賞者のローリ マッキーナとNatalie Hembyの力を借りて制作された本アルバム。ムーアは新しい立ち位置で新たな脚光を浴び、まさに彼女自身のクリエイティブなビジョンを見据えて実行している。「こんな形のアルバムは今まで作ったことがなかったわ」と彼女は言う。「私が船の操縦者でキャプテンだったわ。だから自分が誰なのか、自分のいる場所、自分の選択、そしてここにたどり着くまでに必要だった事に対する当事者意識があるのよ」。ここでは、彼女自身がアルバムの全曲を案内してくれる。

I’d Rather Lose

私が少しは善人だという考えに対して眉をひそめるような曲だけど、単に私たちが住む世界についての歌でもあるの。今、世界はどんどん二極化、分断化されている気がするし、真実という概念が毎日のように疑問視されていると思う。こんなゲームに参加した覚えはないという自分がいるし、このゲームに巻き込まれたくないの。勝ち目なんてないし、このゲームに身を投じるほど競争力がある訳でもないもの。だから、もし参戦しないといけないなら、負けた方がましなのよ。それでL(ルーザー、負け犬のこと)と呼ばれても、逃げても構わないわ。私にとってはどうでもいいことだから。

Save a Little for Yourself
この曲で歌われている教訓を学ぶのには時間がかかったわ。きっと常に学習したり、学び直したり、自分に言い聞かせたりし続けるものだと思う。でも世の中に送り出す大切な感情だと思ったのよ。だって自分に必要なものが分かってもいないのに、世の中を心配したがる人をたくさん知っているから。レベルはその都度違うけど、私は今もこのことに苦しんでいる気がするの。だから、ずっと温めてきたモットーを歌詞にしてアルバムでコミットするのは気に入ってるわ。だってそうすれば逃げようがないから。究極的には自分に思いを寄せたり、自分のニーズを大切にしなかったり、自分のために何かをとっておくことをしなかったら、何の役にも立たないだけでなく、周りの誰にとっても良くない自分になってしまうもの。

Fifteen
この曲はどうしてもこのアルバムにあるべきだという気がするの。音楽を続けていくには、そして人生のこの時期に本当の安らぎを得るには、自分の中の少女と向き合う必要があったから。人生のある岐路における気まずさや恥ずかしさ、あるいは変な戸惑いという荷物をもうこれ以上抱えたくなかったの。癒されて一巡したような時間よ。あの頃がすごく遠くに感じられる反面、今でもはっきり思い出すことができるわ。デビューした頃私はいつも4番手みたいな感じだった。ブリトニー・スピアーズがいて、クリスティーナ・アギレラ、ジェシカ・シンプソン、それから時々私がいて、みたいな。そのヒエラルキーの中での私の役割はというと、、、彼女らレベルの音楽的成功を収めたことはなかったわ。でもそれは、私が完全に違うキャリア、そして女優としてのキャリアを得ることができた理由の一つでもあるの。あの子たちはすごく有名だったけど、あれほど有名だと違う姿を見てもらうのがどんどん難しくなると思うから。私は無傷のまま逃げ切った感じね。

Tryin’ My Best, Los Angeles
私は真のアンジェリーノ(ロサンゼルスっ子)、ここが私のふるさとだって思っているの。もしロサンゼルスをバカにする人がいたら私が真っ先に擁護するわ。この街の欠点もすべて理解しているけどね。ひどい交通渋滞も、企業のお膝元ってことにも異論はないし。そういうのは全部フェアな批判だけど、それでも大好きな街だし、逆にそれだからこそ大好きなの。この街とはトリッキーな関係だった。若い頃、キャリアの初期にロスにいるのは明らかに戦略だったから。私は本物の盛衰を味わってきた。自分の困惑や、ここにいるべきか、ここで必要とされるのか、ここから去って他のことにチャレンジすべきなのか、たくさん迷ったの。「もしかしたら私はロサンゼルスにとって用済みで、他のどこかでチャレンジする必要があるのかも」なんて車の中で長い時間考えを巡らせたわ。この曲は私にとってこの街へのオマージュだったの。好き嫌いの関係じゃなくて激動の関係。もうここにいる意味もないんじゃないかって思ったこともあったわ。今は折り合いをつけて、ものごとがずっといい状態になっているの。

Easy Target
世の中で自分の置かれた場所について十分に認識しつつも、いろんな意味でアウトサイダーや異端児のような気がしていて、ものごとをSNS的な側面でより語りかけるような感じ。私が曲をリリースするようになった以降も、明らかに多くのことが変わったわ。それに、TwitterやInstagramの増殖なんかで、簡単に人とつながりすぐに反応があって、自分だけの物語を描くことができるようになったしね。もっと具体的にいうと、より大きな試練の時期を理解し、世の中で自分が何者かを理解することね。自分がターゲットになりやすいのは分かっている。きっとみんな人生のどこかでターゲットになりやすくなる時期があると思うけど、それでもいいと思えることが大事よね。

When I Wasn't Watching
あのフレーズ"A little lost, a little rough/The lack of answers all add up to who we are(ほんの少し自分を見失ってほんの少し荒れていて/答えがないということがすべて今の私たちに繋がっている)"は、どこから始めればいいのか全く分からないという戸惑いから来てるの。もう一度音楽をやりたかったけど、言いたいことが多すぎる気がしたし、それでいてどうしたらいいのか分からなくて困っていたわ。本当にたくさんの方向性がある気がしたし。これは初めてこのアルバム用に書いた曲だけど、元々は2016年までさかのぼるの。その後、去年作り直したわ。究極的にはこの曲はそんなことを歌っていて、いろいろ迷いが混ざった複雑な気持ちと、そこがまさに自分のいるべき場所だって理解してる。そしてそれらすべてが重なって自分のいるべき場所へとつながるんだと思う。

Forgiveness
このアルバムを作るのはツアーに出るために通るべき道だったの。ツアーができるように新曲を作りたかったのよ。だって、ライブで歌うことが恋しかったから。自分がワクワクできて毎晩オーディエンスと共有できるようなアルバムを作りたい、頭の片隅にある気持ちに苛まれてみじめに生きたくないというテーマもあったわ。もう十分そうやって生きてきたしね。"Forgiveness"は過去に触れたいと思った一番の曲なの。

Stories Reminding Myself of Me
自分や自分の人生経験を特定の役割にできるだけ注入することは可能だけど、究極的にはそれはマンディ・ムーアじゃないのよね。アーティストでいることには美しいもろさがあるの。あと、例えば車のダッシュボードに足を乗せて、ほろ酔いの午後について語るとか、そういう経験について書くことや語ることができたりするのもね。人が私と関連づけて考えそうにないものを人と共有できることに一番興味があったりするの。だからこそ完全な形で音楽を自分の世界に持ち帰ることにエキサイトしているのよ。休眠していて見過ごしてしまった部分が大きいし、人と分かち合えることが恋しかったから。

If That’s What It Takes
この曲は癒しで、アルバム用に最後に書いた曲の一つよ。夫という存在と、そして夫という美しい休息の場と一緒に見つけた世界に感謝してもしきれないの。この曲はその気持ちへのオマージュ。同じようにこの領域をカバーしてくれるような曲は他にないわ。今までの人生、そして自分の歴史があるからこそ、アルバムを作るという今の自分をまた見いだすことができたの。個人的にもプロとしての彼の影響を無視できないし、この曲はそのことを反映させたかった。

Silver Landings
ナッシュヴィル行きの理由にはもう数曲欲しかったというのもあったけど、特にアルバムを締める曲が必要だったの。アルバムのタイトルになるとは思ってもいなかったけどね。ナタリー(Natalie Hemby)のホームスタジオで、彼女がいくつかフレーズを読み上げたの。「うんたらかんたら、、、シルバー・ランディング。この意味良く分からないし、無意味なのよ」って。私は「いや、私には良くわかるわ。これこそ私たちが書いている曲ね」と言ったの。まさに1時間半後には曲が書きあがった。彼女はすごく戸惑ってたけど、私は心のどこかで「アルバム全体が言いたいことはこれだわ」って確信があったの。私はそもそもかなり楽観的だし、ものごとには理由があるって信じている「Silver Landings」は希望の兆しで、地に足のついた目的の究極の概念。そして、このアルバムのすべてを網羅する考えなのよ。

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