1980年代のヒップホップ・シーンを代表するグループ、Run-DMC のデビュー・アルバム。デビュー前から話題のチームであったこともあり、本作は100万枚を超えるセールスを記録した。スポーツウェアに身を包んだファッションやラップのスタイルは当時、非常に目新しいものであり、新世代誕生を強く印象づけた1作である。サウンド的にはシンプルなリズム・マシン+シンセに彼らの大きな特徴であるハードロック・ギターが絡む展開。荒削りなスクラッチもフレッシュだ。このリズム・マシンを土台にしたトラックはエレクトロ・ヒップホップ(もしくは単にエレクトロ)と呼ばれ、Afrika Bambaataa の「Planet Rock」などから脈々と受け継がれている伝統のスタイル。エレクトロ・ヒップホップは後のエレクトロニック・ミュージックに直接的/間接的に大きな影響を与えており、エレクトロニック・ミュージックの歴史をひもとく上でも聴いておきたいアルバムだと言えるだろう。