

本作には、ルノー・カピュソンが抱くリヒャルト・シュトラウスの音楽への変わらぬ愛を反映した、新録音とアーカイブ音源が収録されている。ここでは、このドイツロマン派の作曲家による空を舞うようなメロディを、フランス人らしいチャーミングな演奏で優雅に彩るカピュソンの才能が、存分に発揮されている。 『ヴァイオリン協奏曲 ニ短調』は、シュトラウスの初期の作品だ。ここでのカピュソンは、10代の作曲家にありがちな大げさな表現を必要以上に真剣に受け止めることなく、遊び心と琴線に触れる表現のバランスを見事に保った、軽やかで魅惑的な演奏を聴かせてくれる。 同じく初期の作品だが、比較的よく知られている『ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調』は、非常に優しい雰囲気で演奏されている。その優しさが作品全体に広がっている様は、アルバムの後半に収録されているシュトラウス後期の作品『メタモルフォーゼン』に対してカピュソンと仲間たちがもたらした、感情の強さの持続性と通じるものがある。これは第2次世界大戦末期のすさんだ時期に書かれた作品で、オリジナルのスコアは23の独奏弦楽器のためのものだが、ここでは弦楽七重奏版で演奏されている。 アルバムの最後を飾るのは、当時20代前半だったカピュソンがコンサートマスターを務めていたグスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラによる2000年のライブ録音『交響詩「英雄の生涯」』だ。この高貴さにあふれた演奏を指揮しているのは小澤征爾である。